第88回春のセンバツチームの力と積極的な走塁から生まれた好ゲームの数々
緊迫した決勝戦はエースの一打で勝負あり
決勝戦は初優勝を狙う奈良県代表の智弁学園と、春のセンバツ第1回優勝校の古豪にして秋の神宮大会で優勝した香川県代表の高松商業の試合でした。
試合は2回裏、智弁学園が1点を先制してからはお互いに点が入らずに緊迫した投手戦になりました。このまま智弁学園が逃げ切るかと思われた8回表、高松商業が1点を返して試合はそのまま延長戦に突入しました。
そして1対1のまま11回裏、智弁学園はここまで力投を続けてきたエースの村上が自らのバッドでサヨナラタイムリーを放ち、智弁学園は春夏通じて初めての優勝を手にしました。
圧倒的ヒーローの不在とチーム力
今大会、プロ注目選手がいる高校が早々に姿を消すという波乱が巻き起こりました。プロ注目投手の高山(大阪桐蔭)、藤嶋(東邦)、高田(創志学園)を擁する各校がベスト8まで残らないという結果になりました。
一方で、1人のエースの力に頼るのではなく複数の投手の継投によって勝ち進むチームも見られました。準優勝した高松商業も先発の浦とリリーフの美濃という2人の投手の継投で勝ち上がってきました。
このように圧倒的な個の力ではなく、選手全員が一丸となって戦うチームの強さが光りました。サヨナラ試合は過去最多に並ぶ6試合で、非常に接戦が多かったことがわかります。
新しいルールの導入と積極的な走塁の増加
また、今大会から新たに導入された「コリジョンルール」というものがあります。ケガ防止のため、「本塁突入の際の走者による体当たり」や「捕手の走者へのブロックや走路を塞ぐこと」を禁止するものです。
メジャーリーグでは既に導入されていて、2016年からはプロ野球でも採用されているルールです。
これまではアウトになるリスクを恐れて本塁突入をためらう場面が多かったのですが、このルールの導入により、積極的に本塁を狙う走塁が多く見られるようになりました。これは決勝戦を決めたサヨナラの場面でも見られ、外野の頭を越えた打球で一塁にいた走者が一気にホームインしました。
大会の総括と今年の夏への展望
今年の春のセンバツは、新たなルールの導入、そしてチームが一つになって戦うことで多くの好ゲームが生まれた大会だったといえます。
これから夏に向けて、各校コリジョンルールへの対応が一層推し進められ、夏の甲子園でも多くの好ゲームが生まれることになると思われます。