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3.さまざまな"オタク"を唸らせた魅せ方

独特な世界観とマッチした王道のストーリー。しかしガルパンの魅力はそれだけではありません。

ファンタジーのような世界だからこそ、戦車の戦闘シーンではとことんリアルにこだわり制作していて、その『魅せ方』が作品人気を盛り上げる重要な役割を担っていました。

主人公たちとおなじように、この作品のもうひとつの主人公は『戦車』。
ガルパン出典:©「ガールズ&パンツァー」公式ツイッター(@garupan)より
登場するのは第二次世界大戦世代の戦車が中心で、史実に基づき描かれる戦車のなかには、その戦車の有名なエピソードを彷彿とさせるようなシーンがあったり、実戦では活躍できなかったものを動かしたりしていて、資料集めや設定にはかなり気合を入れて作っていたそうです。

外見だけではなく戦車内部やコンソール部分、どこが動いたらどの部分も一緒に動くのかなど、ひとつひとつをとても細かく、そして正確に再現していて、そうした戦車のモデルのリアルさに戦車ファンも納得していた様子。

リアルさとは逆に、物語のなかでは戦車の特徴を「個性」としてより印象づけるために、少しオーバー気味で描く演出を加えていて、大きな戦車や機動力の高い戦車などそれぞれの戦車のイメージをより感じやすいように動かしていました。こうしたリアルとの絶妙な塩梅も本格的なミリタリーファンから好評を得ていたポイントでした。

また、各学校ごとにモチーフにしている国の戦車を運用しているので、実戦では叶うことのなかった戦車同士の夢の共演が観られるというのも戦車ファンにとっては嬉しいポイントだったようです。


実はシリーズ全体を通して、キャラクターより先に「どの戦車を登場させるか」を考えてから制作していたそうで、戦車に後付けでキャラクターやチームの個性が考えられていたそうです。

敵チームの乗る正統派の強い戦車に対して、主人公チームは予算不足で戦力的に期待できそうにない戦車も多いですが、戦車の個性を活かした作戦で主人公チームが勝利していく様子は、ミリタリーファンにとっても「そうきたか!」と純粋に面白く観られるポイントだったのかもしれませんね。
ガルパン 戦車出典:©GIRLS und PANZER TVアニメ『ガールズ&パンツァー』第12話より
もちろんミリタリーに詳しくなくても、そもそもの前提として映像作品としてのクオリティーが非常に高いので、綺麗に描かれた戦闘シーンとぬるぬると動く戦車につい見入ってしまうはず。

CGを用いた戦闘シーンでは、縦横無尽に戦車が動き回りますし、なにより戦車の迫力や臨場感を感じさせるカットの割り方やカメラワークが秀逸!

キャラクターの目線で描いた移動シーンや砲口がまっすぐにこちらを狙っているようなシーン、隊列を組んで前進する戦車をぐるんと回して撮るシーン、戦車同士が正面から激突し距離を測りながら砲撃し合う接戦シーンなどなど。視聴者を飽きさせることなく戦車をひとつのキャラクターとして捉えたような魅力的なカットがとても多く、単純に「かっこいい・・・!」と、カタルシス的なものを味わうことができるのです。
ガルパン 戦車出典:©GIRLS und PANZER TVアニメ『ガールズ&パンツァー』第12話より
TVシリーズ、劇場版と続き、現在公開中の最終章でも抜群のカメラワークは健在で、2話以降の上映から予定されている4DX・MX4Dを想定したような斬新な演出も・・・!映画館の大きなスクリーンで何度も観たくなってしまいますね。


そして戦車だけではなくキャラクターにも愛嬌を感じさせながら、細かい動きでリアリティーを演出しています。

車長が一発逆転の作戦を考え咽喉マイクで指示、操縦手が不可能にも思える運転で敵チームをあざむき、車長の手の合図で砲手が敵を撃破・・・といった一糸乱れぬチークワークには、あそこでこうなるには、ここでこうなきゃいけないよね、という動きをとても繊細に描いていて、とんでもないことをやっているはずなのに、アニメーションのなかに不自然さを感じることがないのです。
ガルパン 戦車出典:©GIRLS und PANZER TVアニメ『ガールズ&パンツァー』第12話より

そしてもうひとつ、ガルパンでは凝った仕掛けをしている箇所が。

実は劇中で、映画ファンならきっと気付いてしまう名作戦争映画のオマージュとも思えるシーンを散りばめているのです。

『恐怖の報酬』や『1941』、『バルジ大作戦』、『戦略大作戦』や『シャイニング』などなど、物語に直接的に関係があるシーンという訳ではないのですが、よく観てみると「これって・・・」となるシーンが多く見つかるはず!

映画ファンの方はぜひ、そうしたシーンにも注目して観てみてくださいね♪

4.キャラクター、戦車をより印象付ける音楽と音響効果

ガルパンの主役はキャラクターと戦車たち。ですが、彼女たちをより引き立ているのが劇中伴奏音楽と音響効果です。

アニメ・劇場版を通して、1960年代の戦争映画のようなマーチ風の音楽を多用することや各校のモチーフとなった国の実際の軍歌や民謡を使用していることがガルパン音楽の大きな特徴。

監督の水島努さんは音楽の知識もかなり豊富で、選曲や楽曲の使用法はすべて監督が音楽担当の浜口史郎さんに指定したものだそうです。

浜口さんは、水島監督のリクエストで「昔の戦争映画音楽っぽく仕上げた」と語っていて、個性豊かなだけではなく、登場するチームや戦車そのもののイメージをさらに印象づけるような楽曲が多く、魅力的なストーリーをよりドラマチックに演出していました。

どの楽曲もノリの良いアレンジで、多くのバラエティー番組でもBGMとして使用されています。よく観る番組で流れていたのは実はガルパンの音楽だった!ということも少なくないかもしれませんね。

特に大洗女子学園のメインテーマになっていた『戦車道行進曲!パンツァーフォー!』は、可愛らしくもノリがいい軽快なマーチで、多くの番組で使用されていますよ。


こちらはおなじ『戦車道行進曲!パンツァーフォー!』の劇場版Ver.。

アニメ本編Ver.では、金管楽器を中心とした吹奏楽よりの編成でしたが、劇場版ではシンフォニック編成へと変更し、そのスケールに相応しい奥行きのあるアレンジになっていました。


そして耳で楽しむもうひとつのポイントが効果音などの音響効果。

TVシリーズ放送後から、口コミで人気となっていたガルパンですが、その火をさらに大きくさせたのが、2015年に公開された劇場版作品の超ロング上映でしょう。

映画館の音響環境は、音にもこだわりを持って作られていたこの作品のポテンシャルを最大限に発揮させました。砲塔がまわる音や履帯の動く音、車体が傷つく音、装甲を砲弾が弾き飛ばす音などなど、そのどれもが戦車のリアリティーをより昇華させるものでした。

車内のキャラクターが映るシーンでは、反響音を座っている位置や車種ごとにすべて変えていて、戦車の内部しか映っていなくても臨場感を味わえるような工夫がされていました。

劇場版は内容の2/3ほどが戦車戦シーンでしたが、家庭のTVでは再現することのできない、火薬が炸裂する『爆発音』というリアリティーを加味していて、作り手が聴いてもらいたかった理想の音を劇場で再現するために、数々の劇場へ音響チームが直接足を運んで音響調整を行っていました。
ガルパン出典:©「ガールズ&パンツァー」公式ツイッター(@garupan)より
長期に渡り、劇場への客足が途絶えなかったのは、美麗な映像を大きなスクリーンで観ることができるというだけではなく、こうした音響チームのこだわりの音を最高の音響環境で聞きたいというファンが多かったからだったのですね。

作品の軸であるセリフをクリアに聞かせながら、効果音の迫力もMAXに。言葉にするのは簡単ですが、実際にそのバランスを保つというのはとても難しく、音響チームの力量とチームワークの良さ、そして作品への情熱と音に対するこだわりあってこそ。

TVシリーズ、劇場版はどちらも共通してクライマックスの戦闘シーンでセリフがなく、戦車の砲撃の音やぶつかる音のみでシーンが構成されていて(※TVシリーズではBGMあり)、効果音が「音の主役」を担っていたのです。

絵に頼ることなく、なおかつ美麗な戦闘シーンに負けない効果音。この感動と興奮はぜひその目と耳で味わってみてください!


劇場版のBlu-ray特装限定版には5.1chの再生装置がなくても、ヘッドフォンで映画館と同じような迫力の立体音響が楽しめる「DTS Headphone:X™」という技術が採用されていて、通常ヘッドフォンで聴くと左右からの平面な音しかないはずなのに、自分の前と後ろにもスピーカーがあるような立体感のある音を楽しむことができます。


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