『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌ語
①【アイヌ(人)&カムイ(神)】
■アイヌ【人間(アイヌ民族)】
北海道に居住していた狩猟民族。現在でもアイヌの子孫は各地で暮らしています。「アイヌという言葉自体に“人間”という意味があるため、“アイヌ人”という呼び方はしない」と教わった記憶があります。■シサム【和人】
アイヌ以外の日本人のこと。『ゴールデンカムイ』でも、アシリパが杉本のことを「これだからシサムは……」みたいなことをよく言っています。■ウパシクマ
遺訓や伝承などの言い伝えのこと。アイヌは文字を持たなかったため、叙事詩や神謡などの口承文芸によって、歴史や精神を伝えていました。■カムイ【神】
力の及ばないものや、身の回りの役立つものなど、すべてをカムイとして敬っていました。火・水・大地・動物などの自然物から、服・食器などの道具類まで。■ウェンカムイ【悪い神】
「ウェン」は「悪い」という意味。『ゴールデンカムイ』では、人間を食べたヒグマやオオカミに対して「ウェンカムイ」という言葉を使っていました。■キムンカムイ【ヒグマ(山の神)】
「キムン」は「山の」という意味。ヒグマは山の神として崇められていました。■ホロケウカムイ【狼の神(狩する神)】
「ホロケウ」は「狼」という意味。北海道にはかつてエゾオオカミが生息していましたが、開拓の際の毒餌による駆除や、大雪によるエゾシカ(狼の獲物)の大量死など、様々な要因によって1890年代に絶滅しました。『ゴールデンカムイ』ではレタラと名付けられた最後の(?)エゾオオカミが登場します。
■カパチリカムイ【鷲の神(オオワシ)】
「カパチリ」は「オオワシ」という意味。■ワッカウシカムイ【水の神】
水を大切にしていたアイヌは、川で洗濯も排泄もしませんでした。■イオマンテ
「熊送り」。アイヌの儀礼のひとつ。ヒグマなどの動物を殺し、その霊(カムイ)を神々の世界に送り返す祭りのこと。アシリパは別れが辛くならないよう、子熊に感情移入しすぎないようにしていました。
『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌ語
②【生活・食事】
■クチャ【仮小屋】狩猟や漁労の際に、寝泊まりするための小屋。『ゴールデンカムイ』でも頻繁に登場します。
■チタタプ
肉(魚)のたたき。アイヌ料理のひとつ。直訳すると「チ(我々が)タタ(刻む)プ(もの)」。「チタタプ、チタタプ……」と言いながら、タシロ(山刀)で肉を叩きます。
『ゴールデンカムイ』でも、エゾリスやうさぎ、エゾシカなどをチタタプにして食べていました。食事シーンも本作の見どころですね(アシリパはとにかく杉本に「脳みそ」や「目玉」「内臓」を食べさせたがります笑)。
■オハウ【煮込み汁】
肉や魚、野菜などを鉄鍋で煮込んだ料理。寒い冬に食べるとおいしい北海道の郷土料理、「石狩鍋」や「三平汁」の起源とも言われています。
■オマソ【う〇こ】
味噌をう〇こと勘違いするアシリパ。杉本が味噌をオハウ(汁物)に入れドン引きします。はたしてアシリパは味噌をおいしく食べられるようになるのか……。
■ヒンナ【いただきます】
アシリパは「ヒンナ」という言葉について、「食事に感謝する言葉」「私たちは食べながら言うんだ」と言っています。「おいしい」という意味ではないようですが、杉本などは「おいしい」という意味で使っているようにも見えます。食べながら言うとのことなので、「おいしい」→「食事に感謝」→「ヒンナ」という流れなのかもしれません。言葉の響きがいいですね。
■イセポ【うさぎ】
「イーッと鳴く小さいもの」という意味。「エゾユキウサギ」は現在でも北海道に棲息していますが、絶滅の危機に瀕しています。
■エサマン 【カワウソ】
現在は絶滅しているニホンカワウソ。物忘れの激しいカムイだったそうです。
■ユク【鹿(エゾシカ)】
エゾシカはここ数十年で急増しており、自然環境への影響や交通事故などが社会問題となっています。山道を車で走っていると、たまに見かけます。
■ルイペ
生の肉や魚を凍らせたアイヌの料理。「ル(溶ける)イペ(食べ物)」という意味。「サーモンのルイベ」などは現在でも人気ですよね。
『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌ語
③【アシリパの装備・他】
■カリンパウンク【桜の皮を巻いた弓】
■アイ【矢】
■イカヨプ【矢筒】
■タシロ【山刀】
■メノコマキリ【女用小刀】
「メノコ」は「女性・女の子」、「マキリ」は「小刀」という意味。■エキムネクワ【山杖】
■ユクケリ【鹿皮の靴】
■チンル【堅雪用かんじき】
■ストゥ【制裁棒】
窃盗や殺人が行われたときに制裁を加える棍棒。アイヌ社会において、窃盗は一番の悪事だったそうです。もちろんストゥの乱用は禁じられています……が、アシリパは何かと便利道具として使っています。
■イパプケニ【鹿笛】
鹿の膀胱を薄く伸ばしたものが張られ、鹿の鳴き声によく似た音を出します。狩猟の際、鹿をおびき寄せるために使用していました。■ピセ
熊の胃袋でつくられた容器。水や油を入れるために使われました。『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌ語
④【コタン(村)】
■コタン(アイヌコタン)【村・集落】
積丹(シャコタン)、神居古潭(カムイコタン)など、北海道には今も地名として残っています。■チセ【家】
■ムックリ
竹製の楽器。口琴の一種。小学生のころに社会科見学で作った記憶があります。■プ【貯蔵用の蔵】
■フチ【祖母・ばあさん】
アシリパのおばあさんが登場。■エカシ【長老・祖父・じいさん】
■アマッポ
自動発車式の仕掛け矢。通りかかった獲物が張り糸に触れると、毒矢が放たれます。■トゥレンペ【憑神】
■シタッ【(白樺の)樹皮】
白樺の樹皮が幹から剥がれて丸まっている光景は、北海道民にはお馴染みです。■タッニワッカ【白樺の水】
シカラバの樹液。ほのかに甘い。喫茶店で一口もらったことがありますが、メープルシロップのような甘さを想像していたせいか、「ただの水じゃん!」と思ったことがあります(笑)*
では最後に、『ゴールデンカムイ』に登場するメインのキャラクター2人を紹介しておきましょう。アイヌの少女「アシリパ」の名前にも、もちろん深い意味があります。
"アシリパの意味は?『ゴールデンカムイ』の登場キャラクターを紹介!"
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