劇場を包み込む圧倒的歌唱力!宝塚歴代トップスターの中で、歌が上手い5名を紹介

安蘭けいの心に響く「ひとかけらの勇気」は必聴!

幅広い音域を操り、情感たっぷりな歌声が魅力だったのが、星組トップスターの安蘭けいさん。

出典:安蘭けい「蝶 〜Butterfly〜」より

下級生時代から歌唱力で注目され、お芝居・ショーの歌手として抜擢されることも多い存在でした。

高音から低音まで自在に操り、ビブラートの美しい歌声が特徴。

2番手時代には「王家に捧ぐ歌」でヒロイン・アイーダ役に挑戦。誇り高く、強く、美しい女性を歌声で魅力的に表現していました。こ

の作品では、歌唱力に秀でた娘役が務める大役「エトワール」(パレードの最初に階段を降りる歌手)も担当。高音域の素晴らしさは、男役であることを忘れてしまうほどでした。

トップスターに就任するまでに時間はかかりましたが、実力派娘役・遠野あすかさんとのコンビは歌声が非常に素晴らしかった!

ハーモニーの美しさという点でも、安蘭けいさんの歌には非常に聴きごたえがあります。

そんな安蘭けいさんの最大の代表作は、「スカーレット・ピンパーネル」です。

安蘭けい出典:©宝塚歌劇団 公式HP『安蘭けいさん×紅ゆずる 対談』より
美しい楽曲の数々で彩られたミュージカルに命を吹き込み、再演を重ねる人気作へ成長させたのは、安蘭けいさんの歌の力あればこそでしょう。

中でも、「ひとかけらの勇気」は、作曲家のフランク・ワイルドホーンさんが、宝塚での上演にあたり、安蘭けいさんの歌声を聞いて、安蘭さんのために書き下ろしたというエピソードがあります。

「ひとかけらの勇気」は、何度聞いても胸に響く、前向きな気持ちにしてくれる名曲です!

宝塚の山寺宏一?伝説とも言える名歌唱を連発した芸達者、北翔海莉

歌声の多彩さは、星組トップスターの北翔海莉さんの右に出る人はいないでしょう。

北翔海莉出典:©宝塚歌劇団 公式HP 2016年 星組公演『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』より
入学時の成績は最下位で、卒業時の歌唱力も下から2番めだったというのも、信じられないほどの名歌唱を残しています。

そして、ただ上手いだけではなく、かなりの芸達者!最強のエンターテイナーと言える存在です。

ピアノ弾き語りもお手のもの。

「雨に唄えば」では、歌唱力をあえて封印し、悪声の女優役をコミカルに演じる離れ業をやってのけました。

北翔海莉出典:©宝塚歌劇団 公式HP2015年 星組公演『ガイズ&ドールズ』より
特に、星組トップスターに就任してからは「歌」で魅せる場面が多かったです。

大劇場公演以外で行った作品を振り返っても、「LOVE & DREAM」「One Voice」とショーだけで構成された作品が2作ありますから。

「LOVE & DREAM」は北翔海莉さんの多彩さが全面に現れた公演と言えるでしょう。

ほぼオンステージと言えるほど、ディズニーの名曲を次々披露。「アラジン」のジーニーが歌う「Friend Like Me」では、声色を自在に使い分け本領発揮。

この曲をジーニーとして歌えるのは、日本の中でも山寺宏一さん(日本語版吹き替え)と北翔海莉さんだけでしょう。タカラジェンヌとして、あらたな次元の可能性を感じた1曲です。

また、「LOVE & DREAM」の2幕ラストには、宝塚の名作「ノバ・ボサ・ノバ」のシナーマンを熱唱。
北翔海莉
出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ タカラヅカ・スカイ・ステージ「LOVE & DREAM-I. Sings Disney/II. Sings TAKARAZUKA-(’16年星組・梅田芸術劇場)」より
その熱量は凄まじく、生で見ていてこちらの息も止まるかと思いました。あれは、歴史に残すべき歌声だと思います。北翔海莉さんのノバ・ボサ・ノバも実現してほしかった…!

「One Voice」でも、さまざまな楽曲を披露。英語の歌もお手のもの!

北翔海莉さんがトップスターとして率いたことで、星組全体の歌のパワーが何倍にもなったのではないかと思います。

声色を自在に操り、なんでも歌いこなして楽しませてくれるトップスターは、今後現れるでしょうか?

当代随一の歌手!?次期雪組トップスター・望海風斗

まだトップスターではありませんが、次期雪組トップスター・望海風斗さんの歌声も忘れてはなりません。

望海風斗出典:©宝塚歌劇団 公式HP2016年 雪組公演『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』より
雪組2番手として経験を積む中で、その歌唱力に磨きをかけている望海風斗さん。間違いなく、これからの宝塚を「歌」で率いるトップスターの1人です。

最近の公演で特に印象的なのは、「ドン・ジュアン」でしょう。

海外ミュージカルを原作にしたもので、難しいメロディーも多かったのですが、望海風斗さんはどれも軽々と歌っているように見えました。

出典:©宝塚歌劇団 雪組「ドン・ジュアン」スチール写真より

それだけでなく、歌を通して役の感情が痛いほど伝わるのです。特に、憎しみなどの「負」の感情の表現は、観るものの背筋を凍らせるほど。

声量も表現力もずば抜けていて、その圧倒的な歌声は、もはや大劇場を狭いと感じてしまいます!

これからトップスターとして舞台を重ねていく中で、どこまで進化してしまうのか、楽しみでもあり、恐ろしくもあります。

相手役・真彩希帆さんも、歌唱力が強みの娘役さん。これからの雪組は、トップコンビの歌声でどこまでも羽ばたいてくれることでしょう。

トップスターの歌声の魅力・迫力を生で感じてほしい!

望海風斗出典:©宝塚歌劇団 公式HP2015年 雪組公演『ルパン三世 —王妃の首飾りを追え!—』より
今回は、歴代トップスターの中でも特に歌唱力が印象的な5名をご紹介しました。

トップスターには個性があり、それぞれの歌に魅力があるのは言うまでもありません。

そして、宝塚ではショーの華やかな歌から、お芝居の中で登場する情感あふれる歌まで、さまざまな歌が聞けるのが特徴。その魅力を堪能するのは、生で観劇し、体感するのが一番です。

トップスター以外にも、宝塚には魅力的な歌い手がたくさん!ぜひ劇場に赴いて、歌の迫力を感じてくださいね。

著者:海野りんご

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