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1st シングル「ミカヅキ」
明と暗の境界線を歌詞の対比で上手く表現し、作品「乱歩奇譚 Game of Laplace」の世界観そのまま曲になったような楽曲「ミカヅキ」。
キラキラと世界を照らす満月の"明"の部分と、何かが欠け、夜の暗闇の中で這いずり回るミカヅキの"暗"の部分ですが、この楽曲の主人公となるモノは"暗"の世界にいるミカヅキ。
満月の明と比べて知ってしまうミカヅキの苦しさや葛藤などの暗の部分をこの楽曲では主に描いています。
同時に楽曲中で幾度となく出てくる「それでも…!」という切実に光を望むこのワードが、より一層歪さを増幅したミカヅキの感情が流れ込んでくるようでリスナーとしてはこの上なく心揺さぶられることでしょう。
結構露骨に様々な対比表現をしているこの楽曲で一番うまいなと思った部分が1コーラス目サビ。
「それでも あなたに見つけて欲しくて 蝶のように舞い上がるの 欠けた翼で飛んだ 醜い星の子ミカヅキ」
「欠けた」というワードは普通が欠けた歪な人間性と満月が欠けたミカヅキ(三日月)の2つの表現を感じ取れます。そして翼が欠けた蝶というものは、この楽曲の落ちサビで出てくる歌詞のサナギとの対比ととれます。
サナギから生まれたモノが、"翼が欠けた蝶"だという解釈をすると、"何かがあって歪んでしまった何か"と言うより、"生まれる時からすでに歪んでしまっている人間性"と捉えたほうがこの楽曲のイメージ通りでしょう。
そして様々な歪を描いた「乱歩奇譚 Game of Laplace」の作品にもぴったり。
不気味さよりは葛藤やリアルな苦しみがストレートに伝わってくる楽曲ですが、サウンド面に関してもギターの激しい歪(ひずみ)やノイズ系の音と、美しいアコギのアルペジオやストリングス、ピアノの音色が混ざり合っており、こちらも綺麗さと歪(いびつ)さの両方が感じられます。
特にそれが感じられるのは1コーラス目サビが終わった後のブリッジ部分のアレンジ(楽曲の1:00らへん~)
キャッチーなサビメロディーが幾度となく中毒性のある、さユりさんのボイスでリフレインされ、この楽曲は一度聴いたら頭から離れないことでしょう。
「ミカヅキ」は色々なものがぴったりとはまっている素晴らしい楽曲でとても強い1stシングルになったと思います。
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"2ndシングル「それは小さな光のような」"
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