あの世へ向かう話?防弾少年団「春の日(Spring Day)」に込められた想いとは…?

防弾少年団(BTS)の「봄날 (Spring Day)」の世界観について考察・解説をまとめています。

防弾少年団(BTS)봄날 (Spring Day)の考察・解説

まず、봄날 (Spring Day)に登場するのはテヒョンが冷たい雪の降る中で佇む「イリョン駅」という場所。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

この駅は現在無人駅で、人を乗せるのは不可能です。

その証拠に、以下の写真は現在のイリョン駅。


出典:©韓国namu wikiより

このイリョン駅は漢字で書くと「日迎駅」。

この日迎とは太陽に向かって東に歩いていくという春分の行事のことで、孤独かと思われたそれぞれの人生にもあの日の笑顔や仲間の存在でそうではないことに気が付かされる。

しかし、テヒョンはまだその場にひざまずいたまま、誰のいない線路に降りて線路に耳を傾けました。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

次のシーンでは、進んでいる列車に一人乗って車窓を眺めているジョングク。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

海にいて、どこか寂しげに笑うジミン。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

少し寂れて荒れている列車にひとり佇むナムジュン。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

ナムジュンが歩みを進め、列車を飛び出すと、急に景色は一変。

「Omelas(オメラス)」という建物が現れます。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

横には「NO VACANCY(空室なし)」の文字があり、オメラスは満室であることが分かります。

ちなみに、オメラスとはとある美しい街の名前で、理想郷を表しています。

しかし、地下には子供が閉じ込められており、その子供が一身に不幸を背負うことで保たれていた空虚な美しさをまとった街だったのです。

オメラスの外には、すでにユンギとホソクがいますが、彼らはオメラスの中には入っておらず、ナムジュンはその2人をスルーして室内へ入っていきます。

ずんずん中へ進んでいくと、風景はまた列車の中のようになり・・・

ナムジュンがとある一室を開けると、急にメンバー全員が現れます。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

ナムジュンの顔面に向かってケーキを投げたり、お菓子を投げたり、とにかく楽しそうなメンバーたち。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

これは、RUNの時、最終的に殴り合いに発展してしまった薄暗い世界の反転ではないかと。

そして螺旋階段


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

1番地下にいるのはジン。

螺旋階段は、死後の世界=あの世を表しています。

階段の中でぐるぐると回るメンバーたちを一番下から眺めているジンは無表情。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

そして、写真を撮るポーズをします。


出典:©BTS (방탄소년단) 화양연화 on stage : prologueより

화양연화 on stage : prologueの時に、笑いあって写真を撮ったあの頃を思い出しているのでしょう。

そして未だに一人ぼっちのジョングクの背景にある言葉「YOU NAVER WALK ALONE(君は決して一人ではない)」


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

アルバムの最後に収録している曲「A Supplementary Story : You Never Walk Alone」の歌詞に通ずるものがあります。

상처투성일지라도 웃을 수 있어 함께라면
(傷だらけだとしても笑っていられる 一緒ならば)

홀로 걷는 이 길의 끝에
(ひとりで歩くこの道の先に)

뭐가 있든 발 디뎌볼래
(何が待ち受けていようとも、歩みを進めてみる)

때론 지치고 아파도 괜찮아 니 곁이니까
(疲れたり辛くなっても大丈夫、君がそばにいるから)

너와 나 함께라면 웃을 수 있으니까
(君と僕が一緒ならば、笑っていられるから)

날고 싶어도 내겐 날개가 없지
(飛びたくても僕には翼がない)

BUT 너의 그 손이 내 날개가 돼
(でも、君のその手が僕の翼になってくれる)

어둡고 외로운 것들은 잊어볼래
(暗い寂しい気持ちも忘れられる)

너와 함께
(君とともに)

이 날개는 아픔에서 돋아났지만
(この翼は苦しみから生まれたけれど)

빛을 향한 날개야
(光へ向かう翼だ)

힘들고 아프더라도
(つらく苦しくとも)

날아갈 수 있다면 날 테야
(飛べるのならばやってみるさ)

더는 두렵지 않게 내 손을 잡아줄래
(怖くなくなるよう、僕の手を握っていてくれる?)

너와 나 함께라면 웃을 수 있으니깐
(君と一緒なら笑顔になれるから)

내가 선택한 길이고
(僕が選んだ道であり)

모두 다 내가 만들어낸 운명이라 해도
(全て僕が作り出した運命だとしても)

내가 지은 죄이고
(僕が犯した罪であり)

이 모든 생이 내가 치러갈 죗값일 뿐이라 해도
(この人生の全てが僕が償うべき罪の代価だとしても)

넌 같이 걸어줘 나와 같이 날아줘
(共に歩んでくれ…共に飛んでくれ)

하늘 끝까지 손 닿을 수 있도록
(空の果てまで手が届くように)

이렇게 아파도
(どんなにつらくても)

너와 나 함께라면 웃을 수 있으니까
(君と一緒ならば笑顔になれるから)

Ayy I never walk alone
(僕は決して一人じゃない)

잡은 너의 손 너의 온기가 느껴져
(繋いだ君の手から君のぬくもりを感じる)

나를 느껴봐 너도 혼자가 아니야
(僕を感じてみて…君も一人じゃないんだよ)

이 길이 또 멀고 험할지라도 함께 해주겠니
(この道が長く、険しい道だとしても共に進んでくれないか)

넘어지고 때론 다칠지라도 함께 해주겠니
(転んだり傷を負うことがあっても共に進んでくれないか)

※一部抜粋日本語訳

そして、テヒョン、ジミン、ジョングクはそれぞれに歩みを進めていきます。

オメラスの中に一緒にいるメンバーの姿はリアルではなく、メンバーそれぞれが強く願う風景。

オメラスは”理想郷”ですから。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

そしてジミンは海辺でスニーカーを拾いました。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

これはあの海で飛び込んでしまったテヒョンのもの…?

一方で、迷いに迷っていたジョングクも、オメラスへとたどり着きます。

必死にヒョンたちを探し、あるドアを開けると…


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

急にメンバー全員(本当は6人)が現れ、ジョングクはようやく会えたと少し微笑んで走り出します。

もう一人じゃないと悟ったような表情で。

その刹那、もう一人のジョングクを乗せた電車が走り去っていきます。

同じ列車にナムジュンもいるようですが、会うことは出来ていません。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

列車の中は虚構の空間ですが、オメラスは彼らが描く理想郷。

しかし、そんな理想郷にも永遠や確実はなく、とても不安定な世界であることが分かります。

そして列車で目を閉じていたジョングクが次に目を開けると、同じ車両にメンバーが全員います。

列車から降りたメンバーは、ジミンの先導で広大な大地を歩いていきます。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

途中ジミンは海辺で持っていた白いスニーカーを手にしています。


出典:©BTS (방탄소년단) ‘봄날 (Spring Day)’ Official MVより

そしてこのシーンでは、メンバーの数は6人になっているようにも見えます。

あの日飛び降りて死んでしまったテヒョンを弔うために、バラバラになったメンバーたちは思い出や足跡を辿りながら冥界へとテヒョンを導いたのかも知れません。

「A Supplementary Story : You Never Walk Alone」の歌詞を見ていると、

①君は決して一人じゃない

②人生は犯した罪の代償

③苦しみから生まれた翼

④一緒に共に歩んでくれれば笑顔になれる

こんなメッセージ性のあるキーワードが読み取れます。

それぞれに起こった出来事を示唆するとともに、連絡を取り合わなかったメンバーたちが何かをきっかけに思い出を改装しながら同じ場所へとたどり着いたのでした。

罪を犯した彼は救われるのか、楽しかった日々は取り戻せるのか、「生と死」とは一体何なのか…