我々は加藤和樹の何に惹かれるのか?


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加藤和樹の魅力②目から流れるものに含まれているのは?

和樹さんの演技で最も印象的だといっても過言ではないのが、涙。

美しく頰を伝う涙に、思わずもらい泣きしてしまったことは1度や2度ではありません。筆者は普段あまりもらい泣きしない方なのですが、和樹さんの涙にはかなり弱いんですよね。

その理由は、和樹さんの流す涙からは複数の感情を感じることができるからです。その役が涙を流す要因となった出来事に対して、どのような思いを持っているのか?という考察がとっても捗ります。

ここでは特に涙の印象が強い2作を例に挙げ、その涙の魔力を紐解いていきたいと思います!

ミュージカル『フランケンシュタイン』

1作目は、2017年に上演され今も再演を熱望されているミュージカル『フランケンシュタイン』。

https://twitter.com/kazuki_kato1007/status/832921926196613120

メインキャストが全員1人2役を演じるという異色さでも注目を集めた作品です。イギリスの有名なホラー小説が原作で、和樹さんは主人公ビクター・フランケンシュタインの友人であるアンリ・デュプレと、ビクターの手によって醜い姿に変わってしまう怪物の2役を演じました。

この作品で涙を流すのは、アンリのソロ曲です。その曲が歌われるのは、ビクターが人体実験をするために、アンリが犠牲になって処刑されようとするシーン。

出典:©Toho Co., Ltd. 『Frankenstein』PV【舞台映像Ver.】より
「一緒に夢みれるなら(意味:ビクターの人体実験をしたいという夢が叶うなら) 死んでも僕は幸せ」と声を震わせながら歌います。アンリはこのシーンに入る前、自分なんてもう死んでもいい存在なんだというような言葉を口走っていました。そのため、この自ら処刑されにいくという行為はこの世からの逃げであると捉えることもできます。確かにこの曲のラストでは、満面の笑みを浮かべながら「君の夢の中で生きよう」と歌い切るため、アンリは本当に死にたかったからそうしたのかもしれないと考えてしまう気持ちもわかります。

ですが、笑みを浮かべてもなおその目からはずっと涙が流れていました。

この行為には、アンリのビクターのために身代わりになるという強い気持ちとともに、本当はビクターとともに生きていきたいから処刑されたくないという気持ちも含まれているのだと、この涙を見て考えることができました。アンリがいろんな想いを抱えながら処刑台を登っていることがわかり、筆者は和樹さん以上に泣いてしまったのは言うまでもありません。

ミュージカル『レディ・ベス』

2作目は、2014年と2017年に上演された『レディ・ベス』。

https://twitter.com/kazuki_kato1007/status/916690186381094912

レディ・ベスことエリザベス一世がイギリスの女王になるまでを描いた歴史物のミュージカルで、和樹さんはベスと恋に落ちる架空の吟遊詩人ロビンを演じました。

この作品では、2幕終盤でベスが女王になることを選ぶシーンでロビンが流した涙が印象的でした。

ロビンは「女王にならずに自分とともに自由に生きていかないか?」と優しく問いかけますが、ベスはその誘いを断ります。そのあと流す涙には、ベスと一緒になれないことを嘆く気持ちと、諦めの気持ちが含まれていると考えられます。ベスが女王になるという運命に抗えないことを理解しているように、きっとロビンもベスと一緒になれないということを初めから理解していたのです。

“吟遊詩人”とも称されているため、お気楽で何も考えていなさそうに見えるロビンですが、実はしっかりと物事を見つめているのではないかとも考えることもできますよね。

出典:©Toho Co., Ltd. 『レディ・ベス』2017プロモーション映像【舞台映像Ver.】より
ちなみにロビンがちゃんとベスのことについて吹っ切れているかどうかということは劇中では語られませんが、悔しそうな顔をして泣いている姿をみる限り、完全に諦めきれてはいないのだろうなあと感じました。


この2作で和樹さんが流す涙に共通しているのは、いくつかの感情が含まれているということです。

『フランケンシュタイン』であれば友人をかばって身がわりになる強さとその友人とともに生きていくことを諦めきれていないこと、『レディ・ベス』であればベスと一緒にいられないことへの嘆きと運命には抗えないという諦めです。

その涙は、どちらかの感情を強く表現するものではないため、私たち観客はどちらが強いのか自由に捉えることができます。つまり、和樹さんの“涙”が、ストーリーの解釈をいくつも提示してくれるのです。


ちなみに、トークイベントや握手会などで和樹さんの口から自分の役にどう向き合ったかということを語ってくれることもあります。演技には私たちが自由に考える余白を残しつつ、こういう機会にはしっかりとどんな設定で演じていたかという意見を伝えてくれるところも和樹さんの素晴らしいところです。


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