■大切な仲間と共に成長した15年
――デビュー15年周年ということですが、この15年で「変わったこと」を教えてください。
川嶋あい:「路上ライブ1000回」という目標を掲げて活動していた時に、その路上ライブで今のスタッフと出会ってレコード会社を立ち上げたんですが、当時はたった3人のスタッフと私だけだったんです。
ド素人のメンバーで立ち上げた会社に、今では色んなアーティストのみんなが所属してくれたり、色んな人たちがチームの一員になって働いてくれていたり。この環境が、15年前と比べると本当に変わったなって思いますね。本当に大切な仲間たちと共に、成長していくことができました。
――15年で「変わらないこと」はありますか?
川嶋:変わらないのは、楽曲作りだと思います。もちろん、色んな挑戦だとか新しいアプローチは、その都度変えて行っています。ただ、メロディーから先に書いて、それに歌詞を当てていく、というスタイルは、十代の頃からずっと変わりませんね。
■15年の歴史を振り返るベストアルバム
――15年間の集大成とも言えるベストアルバム『川嶋あい15th Anniversary BEST』が、6月27日に発売されました。全曲を通して聴いてみると、曲ごとの思い出がよみがえってくるのはもちろんですが、「声の表情」にも移り変わりがあるなと感じました。川嶋さん自身は、このベストアルバムを聴いていかがでしたか?
川嶋:この15年間やってきた一つの“しるし”として、今まで応援してきてくださった方々にこのアルバムを届けられることが、まずはすごく嬉しく思っています。自分自身、歴史を振り返られるような、本当にフォトアルバムのように、一曲一曲こんなふうに過ごしていたなと、色々な思い出がよみがえってきますね。そんな中でも、今言っていただいた、「声の表情」「声音」が少しずつ変化しているというのが感じられて、自分自身でもそこが一番面白いなと思います。
――例えば、「今の歌い方はデビュー当時に戻っているな」などと感じながら歌うこともあるのでしょうか?
川嶋:曲によっては「戻したい」と意図的に思って歌う曲もありますし、またある曲によっては、当時とは全然印象を変えて歌ってみたいと思ってライブで披露する楽曲もあります。でも基本的には、今の自分の声で自由に歌ってみようという想いで、ライブには臨んでいますね。ただ、最近よくみなさんが聴いてくれるようになった卒業ソング「旅立ちの日に・・・」に関しては、あまりいじらないように、本当にCD音源そのままで歌えるように、というのは意識しています。
――そんな川嶋さんの代表曲「旅立ちの日に・・・」ですが、今回のベストアルバムにはリアレンジされた15周年バージョンが収録されています。原曲と比べてどのような部分をこだわりましたか?
川嶋:「旅立ちの日に・・・」に関しては、世界観を変えて、ちょっと異国感のあるような、ノスタルジックな雰囲気にしてみようと思いましたね。原曲が王道J-POPのバンドサウンドになっているので、これをどういうふうに進化させて、また新しいバージョンで楽しんでいただこうかなと思った時に、アコーディオンをモチーフにした、全然違った世界観を作ってみようと。
■卒業ソングを作り続ける理由
――2018年2月14日に発売された最新のシングル「しおり」。ベストアルバムにも収録されていますが、すごくいい曲だなと思いました。この曲もやはり、中高生に向けた卒業ソングですよね。
川嶋:そうですね。甘酸っぱい思い出を切り取った、学校生活の風景が描かれているので、今の中高校生たちにもぜひ共感してもらえたり、共鳴してもらえると嬉しいなと思います。
――「旅立ちの日に・・・」「12個の季節~4度目の春~」「しおり」など、素晴らしい卒業ソングを数多く生み出していますが、川嶋さんが卒業ソングを歌い続ける理由などはあるのでしょうか?
川嶋:自分自身、書きやすいというのはありますね。なんかいつでも戻れちゃうんですよ。学校がテーマだったり、卒業がテーマだったりする曲って。書いていて楽しいなという感覚もありますし。
自分が曲を書くときは、基本的に脚本家になったつもりで、色々と細かく場面設定をして、すごい妄想想像しながら終始書いていくんです。「しおり」に関しても、学校生活をもう一回テーマにしてみようと思って書きました。ちょっと片思いで……切なさがあって……というシチュエーションを設定して書いていく、そういう作業がやっぱりすごく楽しいなと思いましたね。
別の自分になれる感覚がすごく好きなんです。もちろん、リアルな実体験もどこかにはあると思うんですけど。
――すごい才能だと思います。川嶋さんの実体験と想像力が、感動的な卒業ソングを生み出しているんですね。
"川嶋あいインタビュー(2/2)アニメ「月がきれい」楽曲、そして「8月20日」に向けた想い"
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