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・アフレコに対する姿勢がストイックすぎる!黒沢ともよさんの表現者としての魅力

振り返ってきたように、声優として活躍する以前から、役者として高い評価を受けてきた黒沢ともよさん。

ときには、『感情表現の化け物』と言われるほどで、同年代の若手声優とならんでも彼女の芝居技術・表現力が頭ひとつ抜けている印象を受けますが、それは彼女が人並み以上の努力と情熱を作品、そして「お芝居」に向けてきた結果。

彼女の作品に対する誠実な姿勢とストイック過ぎるまでの芝居への情熱があってこそ、数々の作品で多くのファンを魅了し、時に作品の人気さえも盛り上げていたのです。
黒沢ともよ出典:©黒沢ともよTwitter(@TomoyoKurosawa)よりラジオやイベントなどで垣間見える彼女の地声は、とても聞き取りやすく、明るくハツラツとした印象を受けるかと思いますが、演じるキャラクターによって年齢や性別の印象がガラッと変わる「声の幅広さ」も魅力のひとつ。

そしてなにより、セリフへのアプローチの仕方がいい意味で生々しく、「演技をする」というよりも「キャラクターとして息をしている」というような表現がしっくりくるような、ナチュラルなお芝居が彼女の最大の魅力といえるでしょう。

セリフだけではなくて、話すテンポやトーン、ふとした瞬間に漏れる息でさえキャラクターとシンクロしていて、そのキャラクターが「どうしてここでその言葉を発したのか」「どうしてそう思ったのか」という理由が、ゾっとするほどに説得力を持って伝わってくるような気がします。

また、短いセリフでも様々な感情が入り混じったお芝居ができるので、こうした情報量の多い演技というのは、オリジナル作品はもちろん、原作モノのアニメでもよりキャラクターを生き生きと魅せることができるのではないでしょうか。

彼女自身、演技をするうえでの役作りには、かなり深いところまで突き詰めてるそうで、たとえば彼女のTVアニメ初レギュラー作品となった「アイカツ!」では、有栖川おとめの口癖「らぶゆ~」と向き合うところからはじめたと話しています。
黒沢ともよ出典:©黒沢ともよオフィシャルブログ Powered by Ameba「しりあるっ(2014/04/20)」よりおとめちゃんは、ふわふわとしていて天然なように見えて、努力を努力と思わずにストイックに自身を磨くまさに「努力の天才」な女の子です。

もちろん他の作品もあるのでずっと寄り添っていられるわけではないですが、ひたむきに向き合い続け、おとめちゃんが中学生から高校生へという成長の過程も考えながらたくさんの思いを込めて演じていたそうです。

そんなアイカツ!も現在は「アイカツスターズ!」として新しいシリーズがスタートしていて、一区切りを迎えました。

黒沢さん自身も努力を惜しまないところはおとめちゃんと似ているところでもあり、演じていて胸にくるものが多かったと話していて、シリーズを振り返ったラジオでは、感情が溢れ出してしまい大粒の涙を流しながらおとめちゃんとアイカツ!の思い出を語る姿がとても印象的でした。

・『信じてやらせてください』黒沢ともよ×黄前久美子【響け!ユーフォニアム】

有栖川おとめを筆頭に、赤城みりあ(アイドルマスターシンデレラガールズ)、ティナ(ブラック・ブレット)、犬吠埼樹(勇者であるシリーズ)など、幼い女の子や天真爛漫な女の子を演じている印象が強かった黒沢さん。

そんな彼女の演技にとくに注目が集まったのは、2015年に放送された「響け! ユーフォニアム」の主人公・黄前久美子役でしょう。
黒沢ともよ出典:©黒沢ともよTwitter(@TomoyoKurosawa)より
「響け! ユーフォニアム」は高校の吹奏楽部を舞台にした青春群像劇で、映像や音はもちろん、演技にもリアリティを求められた作品でした。

黒沢さんが演じた久美子は、つかみどころのない本当にどこにでもいそうな女子高生。あまり人に干渉したがらないのに思ったことをそのまま伝えてしまうため誤解されることもある、言ってしまえば主人公らしい行動の似合わない女の子です。

けれど部活を通して様々な経験を重ねていく中で彼女のなかに少しづつ変化が起きていき、シリーズを通して観終えたときに「彼女が主人公であった理由」というのがわかるようなとても繊細なキャラクターでした。
響け!ユーフォニアム2 9話出典:©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 響け!ユーフォニアム2「第九回 ひびけ!ユーフォニアム」より
先述のとおり、映像や音にとてもこだわって制作されていて物語自体も原作者は現役大学生(執筆当時)ということで、「女子高生が3人以上集まったらこうなるよね」「吹奏楽部ってこうだったよね」という『リアル』がいたるところで垣間見える作品でした。

だからこそキャストに求められたのも、アニメ的すぎないナチュラルな演技。黒沢さんのお芝居には画面のなかからその場面の温度や久美子の心拍数までが伝わってくるような印象を受けました。

芝居にリアリティを求められ、演技を演者に委ねられることの多い現場であったことが後のイベントなどでも語られていますが、黒沢さんは久美子の劇中のセリフにもある『悔しくて死にそう』という言葉を本当に言ってしまいたくなるぐらいアフレコ当時は精神的にもギリギリまで追い詰められたそうです。

黒沢さんにとって、初主演作品というプレッシャーはもちろんあったと思いますが、「久美子の思いを伝えきりたい」という気持ちが大きくなっていたようで、久美子の生い立ちや性格を深く深く考えて演じているうちにシンクロしすぎてしまっていたようです。

TVシリーズ終盤のアフレコでは、感情が高ぶるあまり本当に泣きながら演技をしていたそうで、監督の石原立也さんも『もらい泣きしてしまいそうになるぐらい役に入り込んでいた』と話していました。

そして再構成、再アフレコされた劇場版では、久美子と同じユーフォニアムを担当する先輩・田中あすか(CV.寿美菜子さん)の2人をメインに置いた新しい視点で物語が描かれています。
黒沢ともよ 寿美菜子出典:©アニメ「響け!ユーフォニアム」公式Twitter(@anime_eupho)より黒沢さんはアフレコを振り返って、「寿さんには普段からお世話になっているから、甘えられる。アフレコが始まる前にお話をしたら、いろいろと考えてしまうところもあるから、なるべく寿さんの顔を見ず、マイクの前に立ってから、初めて顔を見るくらいの姿勢で臨みました。」と話していて、寿さんも黒沢さんに対して「久美子とあすかの関係は、わたしとともよちゃんの関係にも似ているところがあって、言わなくても伝わることがあると思っている。」とお互いにとても信頼している様子が伺えます。

物語の中でもおそらく黒沢さんの演技が特に注目が集まっていたのが久美子とあすかが校舎で口論になるシーン。久美子がはじめて相手に自分の本音をさらけ出す場面です。
出典:©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』本予告より
実は劇場版の再アフレコ時、テストから本番までに時間が空いてしまい、この間に感情よりも頭で考えたお芝居になってしまうことを懸念した黒沢さんが、『早く収録しましょう』と音響監督に懇願しに行っていたことがあったのだとか。

最終的には黒沢さんが涙しながら『信じてやらせてくさい。ダメならもう一回やります。』と訴え、様々な作業を切り上げてもらい、収録を行ったことを明かしていました。

それぐらい作品とキャラクターに真剣に向き合い、そのシーンでの空気感や感情をストレートに、そして繊細に表現しようと考えていたのですね。

ただただ爆発させているだけではなくて、一言一言のトーンやテンポ、様々な感情が入り混じって、自分でも止められないぐらい本音がぽろぽろとこぼれ出てきているこのシーン、筆者もとても胸を打たれました。

この作品を振り返り、『この作品はわたしの誇りです。久美子と出逢えて幸せでした。』と語る黒沢さん。
黒沢ともよ出典:©黒沢ともよTwitter(@TomoyoKurosawa)より「響け!ユーフォニアム」は2015年のTVシリーズから3年。新作劇場版アニメーション2本の制作が進行中で、2018年4月21日には1本目の映画「リズと青い鳥」の公開が控えています。この作品では、2年生の鎧塚みぞれと傘木希美をメインに描かれますが、2人の関係を知りながら最後の一歩を踏み出せなかった久美子がどう描かれるのかも気になりますね。

2本目の新作アニメは、2年生に進級した久美子たちの物語がTVシリーズの監督を務めた石原立也さんによって紡がれます。

こちらはタイトルや公開日などが未定ですが、随時発表されていくとのことなので、公式HPや公式Twitterの情報をお見逃しなく!


そして昨年、話題を集めたTVアニメ「宝石の国」でも彼女の演技が再び評価されることに。


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