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[第七話]伝えられなかった本心
実は私はあまり裕福な家庭の出身ではありません。
米国留学時代も本当に過酷でした。
外国人に加えて英語も堪能ではなかったし、これといった将来を考える余裕もありませんでした。
イタリアに一緒に旅行に行く約束をした日、空港で彼女を待っている時にガラス扉越しに彼女がイケメンの男性と一緒にバスから降りるのを見てしまいました。
私はすぐに身を隠しました。
なぜなのか?…私もわかりません…ただ咄嗟に身を隠し、振り返って歩いて行ってしまいました。
「そりゃ、そうだろう。私と2人だけでイタリア旅行に行くはずがない。彼女にとって私は何も知らない貧しいただの外国人なんだ。」そんな気持ちでした。
その友人から電話がありましたが、私は受け取りませんでした。
空港のトイレでぼんやり鏡の中の自分の顔だけを見つめていました。
そうして携帯電話の電源を切り、飛行機に乗りました。
同じ便を予約したので、飛行機のどこかにその友人が乗っているはずでしたが、探しませんでした。
ただ願っていました。
その友人が機内のあちこちを見回しながら私を見つけてくれるのをどれだけ願ったか分かりません。
しかし、飛行機が大西洋を渡ってイタリアの領空に入り、空港に着陸するまで...私を訪ねてきた人は誰もいませんでした。



▲彼女を待ちながら撮ったサンフランシスコ国際空港の写真
チッタ・ディ・スメラルドは私の痛みでもあり、幸せな記憶として残っています。
スメラルドの花があまりにも美しく涙が出ました。
そしてその夜、不思議なことが起こります。
民宿で寝ている時に、奇妙な音に目を覚ましたのです。
窓のすぐ下にベッドがあったのですが、誰かが窓を叩くような音がずっと聞こえてくるのです。
部屋は2階で、外は静かでした。
時間は真夜中を過ぎており、カーテンが垂れていたので窓の外は見えませんでした。
怖いかとか、恐ろしいとまでは思わなかったけど、それでも不思議でした。
一体誰が2階の窓を叩いたのか?ちょっと起きて窓を開けてみようかと思いましたが、そうしませんでした。
木の枝が風に揺れて窓ガラスを叩いたんだろうと無理に言い聞かせながら寝ようとしましたが、実際にはよく眠れませんでした。
何かを抑えるような気持ちでその音を聞きながら、長い間じっと横になっていました。
その友人から電話がかかってきたのは、翌日のお昼頃でした。
いや、電話をかけてきたのはその友人ではなく、彼女の兄と名乗る人物でした。
その友人が空港で誰かを急いで追いかけたために事故に遭い、昨夜の真夜中を少し過ぎた時から危篤状態となり、結局あの世に行ってしまったという知らせでした。
その民宿を発つ前、私はベッドの横の窓を開けてみました。
明るい陽射しが入ってきて、遠くにスメラルド畑が見えました。
花を眺めながら太陽の陽射しを受けて風が吹くのを感じながら、私は束の間ですが、その友人と一緒に窓際に立ってスメラルドを眺めているような感覚に陥りました。




▲辛く幸せな記憶、「チッタ・ディ・スメラルド」の美しい景色
米国に帰国して空港から家に帰る途中で、私は長い間望んでいたことが叶ったという知らせを受けました。
まさに韓国のフラワーショップがスメラルド学会から承認を受けたとのことでした。
スメラルドは希少であるため、学会で厳密に海外販売などを管理していて、後々のために私が協会に申請しておいたのが承認されたものでした。
その後...韓国に「フラワースメラルド」をオープンするまで3年という歳月が流れましたが、私はその時の学会からの知らせは、友人が最後に伝えてくれた心だと信じることにしました。
その友人は「伝えられない心(non potevo dire laverità)」をそのように私に伝えて別の世界に行ったのです。
これが最初のポストでお話したスメラルドと私の特別な縁です。
出典:©testesso【Flower Smeraldo】のブログより
原文はこちら
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