『有頂天家族』、『四畳半神話大系』など、数々の作品がアニメ化されている人気作家・森見登美彦(もりみとみひこ)先生。
独特の表現と文体で描かれる森見ワールドは、読む人の心を一気に小説の世界に引き込む強力なパワーを持っています。
主に一人称視点で紡がれる古風で落ち着きのある文体と、一癖も二癖もある愛すべきキャラクターたちの掛け合いはとても心地よく、エンタテイメント性の高さも魅力の一つです。
2017年は『有頂天家族2』や『夜は短し歩けよ乙女』のアニメーション化も決定し、ますます注目度が高まっていますね。
今回はそんな人気作家・森見登美彦作品の中から、アニメ化された『四畳半神話大系』と『有頂天家族』のストーリーや魅力に迫りながら、間もなく公開となる映画『夜は短し歩けよ乙女』の最新情報をお届けしてきます。
4つの平行世界で描く脱力系大学サークル奇譚『四畳半神話大系』
出典:©四畳半主義者の会
ノイタミナ(@noitamina2010)Twitterより
森見登美彦作品をアニメファンに広めたとも言える作品『四畳半神話体系』は、2010年にフジテレビのノイタミナ枠で放送されました。
スタイリッシュな作品が多いノイタミナ枠の中でも、独特な世界観とセリフ回しが一際存在感を放っていました。
『四畳半神話大系』は物語の構成も特徴的で、冴えない京都大学3回生の「私」が自分の可能性を信じ、バラ色のキャンパスライフを目指すストーリーを、それぞれ4つのパターンで書かれているのです。
この4話はすべて同じ書き出しからスタートする所謂「平行世界」の設定。
出典:©イラスト/中村佑介 ©四畳半主義者の会
四畳半神話大系 公式HP『第十一話』より
アニメでは構成を変更し、1~9話までが平行世界のループになっていましたが、10話と11話でこの物語を締めくくる壮大なラストへと向かっていくのです。
主人公の「私」は同じ大学三回生ですが、各話で所属するサークルや組織が違うのが特徴。
たとえばアニメ1話目はテニスサークルの「キューピット」に入ったストーリー、2話目は映画サークル「みそぎ」に入った場合のストーリーなど。登場人物が同じながらも、主人公の立ち位置が違っていることで起こるストーリーの変化が楽しめます。
出典:©イラスト/中村佑介 ©四畳半主義者の会
四畳半神話大系 公式HP『第一話』より
「もしもこのような選択をしていたら、未来はどうなっていただろうか」といった妄想は、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
[next_heading title=個性を放つキャラクター達と原作の世界観を再現する新しい表現方法]