トップ娘役・花總まりの伝説
花總まりさんは、1991年に宝塚歌劇団に入団(77期生)。入団直後から抜擢され、その愛らしさと華やかさで注目を集める存在でした。そして、1994年に入団4年目ながら一路真輝さんの相手役として雪組トップ娘役に就任します。ここまでは、トップ娘役としては珍しくない話です。しかし、花總まりさんはここから怒涛の活躍を続けます。
一路真輝さんの退団後、高嶺ふぶきさん、轟悠さんの相手役を務め、1998年に宙組が誕生すると、姿月あさとさんと共に初代トップコンビを就任。姿月あさとさんの退団後は、後任である和央ようかさんの相手役を務め、2006年に和央ようかさんとともに宝塚を卒業します。
出典:©花總まり(@hanafusamari_official)Instagram より
相手役を務めたトップスターは5人、トップ娘役の在任期間は12年3か月。これは、宝塚の歴史の中でも最長記録です。
単に相手役として寄り添うだけでなく、もうひとりのトップスターとして舞台を牽引する姿は「女帝」と称されるにふさわしいもの。宝塚のありとあらゆるヒロインを演じていると言っても過言ではなく、今なお多くのタカラジェンヌから憧れの象徴として語られる存在でもあります。
一般的には宝塚=男役というイメージがありますが、花總まりさんは間違いなく宝塚を代表する存在であり、歴史を色濃く彩る1人なのです。
大人気ミュージカル「エリザベート」と花總まり
出典:©花總まり(@hanafusamari_official)Instagram より
そんな花總まりさんの最大の代表作と言えば「エリザベート」でしょう。
再演を繰り返され、宝塚の代表作でもある作品ですが、その初演でエリザベートを演じたのが花總まりさんなのです。エリザベート役は、お転婆な少女時代から、皇后としての苦悩、母としての葛藤、老いてからの孤独と女性の一生を演じ切る必要のある大役です。
一路真輝さん・花總まりさんらの初演が大成功したからこそ、宝塚でも、宝塚以外でも広く愛される作品になったと言えます。
花總まりさんは1998年に宙組で再演された「エリザベート」へも出演。宙組エリザベートは、他のキャストの熱演も相まって人気の高い再演演目となりました。そして、「エリザベート」は宝塚の娘役にとって「憧れの役」の代名詞ともなったのです。
花總まりさんの伝説は、宝塚で2度エリザベートを演じていることにとどまりません。
出典:©Toho Co.『エリザベート』2016PV【舞台映像Ver.】より
2015年、2016年と上演された「エリザベート」で再びエリザベート役を演じたのです。初演時と変わらない少女時代の瑞々しさ、より凄みを増した皇后としての威厳・悲哀の演技は、喝采を浴びました。これだけの時を経て、同じ役を演じられることからも、レジェンドにふさわしいということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
"花總まりの女優としての魅力"
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