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アドリブに挑み、新たな顔を見せる

月城かなと・ルキーニ出典:©Takarazuka Revue Company 宝塚歌劇団公式サイト GALLERY (2018)> “Elisabeth: Rondo of Love and Death”より
エリザベートの中で、唯一アドリブを演じるのがルキーニです。滅びに向かう物語の中、暗く陰鬱になりすぎないのは、ルキーニの軽妙さが及ぼす影響が大きいと思います。

2幕冒頭にある、写真撮影の下りでのアドリブも、その重要な一場面。
真面目な月城かなとさんは、どうやってアドリブに挑むのか・・・・?と思っていましたが、変に笑いに走ることなく、その日の出来事も上手に取り入れながら、自然にストーリーを盛り立てるアドリブの技が見事です。

例えば、初日は「みんな緊張している?緊張しているのは、俺の方だよ」と語りかけて笑いを誘いました。
大劇場公演千秋楽には、ライブビューイングが行われていることを念頭に「映画館のみなさんも油断しないでよ、特に東京のみなさん!次は東京に行くからね」と、自然な流れで物語に引き込んでいました。

月城かなとさんというと、真面目で実直なお人柄で、アドリブとは無縁の存在と思っていました。実際、雪組でのラスト公演となった「New Wave 雪」では、「アドリブはしない」と宣言し、最後までその気持を貫いていました。

そんな月城さんが、毎公演見事なアドリブで場を沸かせている・・・これは、本人にとっても大きな挑戦だったと思います。そして確実に、この公演を境に殻を破ることになるでしょう。

月城かなと出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ タカラヅカ・スカイ・ステージBrilliant Dreams#126「月城かなと」~stage~より

代役フランツ役も堂々と演じる

今回の「エリザベート」大劇場公演では、フランツ役・美弥るりかさんが休演するというアクシデントがありました。そこで、代役としてフランツを演じたのが、月城さんです。

ほぼお稽古もやっていないであろう中、ルキーニとは真逆のフランツ役の熱演!ご本人も、周りもたくさんの苦労があったに違いありませんが、月組のチームワークのおかげで、代役公演とは思えないほどの完成度となりました。

中でも、月城さんのフランツは、ご本人のノーブルさと真面目さが全面に出た、「とても優しいフランツ」として、物語の悲劇性をより強めていたように感じます。

アクシデントの上ではありますが、ルキーニと真逆の役を見事に演じあげていたことからも、月城かなとというスターの大きさを感じずにはいられません。

ルキーニで、一皮むけた月城かなと 今後のスター街道が楽しみ

月城かなと・ルキーニ出典:©宝塚歌劇団 月組公演『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』初日舞台映像(ロング) より
偉大なる大スターたちが3番手時代に演じてきた、ルキーニという役。エリザベートの物語の中では異質であり、だからこそ面白い役、役者としての実力が浮き彫りになる役でもあります。

本人の持ち味とは違う役を、これまで魅力的に、過去の誰とも違うアプローチから描き出したことで、月城かなとさんは一段高みに登ったと感じます。新たな引き出しが増え、確実に役者としても成長したはずです。

かくなる上は、今後歩むであろうスター街道がますます楽しみでしかありません。

エリザベート後には、美弥るりかさん主演「アンナ・カレーニナ」に2番手として出演し、信心深く厳格なロシア政界の要人、アレクセイ・カレーニンを演じます。
ルキーニとは真逆の役で、ご本人の持ち味が存分に発揮された当たり役となりそう!

月組への組替えを経て、公演ごとに存在感を増す月城かなとさん。男役10年の節目も迎え、これからますます男役としての魅力開花が楽しみです。


著者:海野りんご

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