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「魔法少女になり隊」はRPGの世界観や要素を取り入れた風変わりなロックバンドで、その音楽の中には有名RPGに登場する固有名詞がたびたび散見されます。メンバーはヴォーカルの火寺バジル、ヴィジュアルジョッキー(映像を素材に、DJのような活動を行う役割)のgari、ギターのウイ・ビトン、同じくギターの明治さん、そしてバンドの開発者兼リーダー兼ベースのあだるとゆうくんの五人。

魔法少女になり隊


魔法少女になり隊はあだるとゆうくんが中心となり、2014年1月に結成。ヴォーカルの火寺バジルにかけられた「喋れなくなる呪い」を解くために冒険しているという設定の下で音楽活動を行っています。この設定はライブにも活かされ、火寺はライヴ中も筆談で話します。ただし歌は彼女の魔法であるという設定になっており、火寺はMPを消費することで魔法として歌うことが可能という扱いになっています。

彼らは「RPG系ノージャンルバンド」を標榜しており、どんなイベントにも参加し、またどんなジャンルのバンドとも共演するという意欲的な姿勢をとっています。


●実はRO69JACK優勝の実力派

「RO69JACK(アールオーロック・ジャック)」はロッキング・オンが主催するウェブサイト上の専攻コンテストです。アーティストが自作の楽曲をサイトで公開し、ユーザーの投票によって選ばれた入賞アーティストはインディーレーベルJACKMAN RECORDSからリリースされるコンピレーションアルバムに参加できるというアマチュア・アーティストの登竜門です。

魔法少女になり隊は2014年にこのRO69 JACKに参戦し、300を超えるアーティストの中から見事優勝アーティスト6組に選ばれています。特異でキャッチーなキャラクター性に隠れがちではありますが、彼らには確かな実力があり、その実力こそがその個性的な音楽活動を支えているのです。RO69 JACKに入賞した「RE-BI-TE-TO」はエレクトロ色が強いダンスチューンの楽曲。ちなみにあだるとゆうくん曰く、歌詞は30分ほどで書いたとのこと。


出典:© rockin'on holdings inc.
魔法少女になり隊 RE-BI-TE-TO(youtube)より


また、魔法少女になり隊はPerfumeも参加したアメリカ開催の世界最大のカルチャーフェス「SXSW」にも参戦。その目立つキャラクター性と確固たる実力により、現地メディアの注目を集めました。




●その変幻自在のサウンドと楽曲紹介

その奇妙なコンセプトとは裏腹に、そのサウンドはデスボイスなどが挿まれるラウド・メタルを中心としたものです。しかし火寺の親しみやすい声と混ぜられたテクノなどの要素により聞きやすく、それでいてメタルの勢いを潰さない、ノリの良い楽曲に仕上がっています。

またノージャンルというコンセプトに恥じず「☆☆☆☆クエスト」などの電波系アニメソング風の楽曲や、落ち着いたエレクトロポップ「first star」など一つ所に縛られない楽曲もリリースしています。

ちなみにアルバム「冒険の書1」や楽曲「火遁の術」にはイラストレーター・金子葵によるアートワークが使用されており、魔法少女になり隊のハードながらどこか懐かしい曲調・歌詞と金子の描くレトロな少女イラストが絶妙にマッチしています。

冒険の書1

ライヴでは激しいロックの例にもれず、ヘッドバンギングやモッシュが盛んに行われ、観客を躍らせるためのダンスチューンも用意されています。しかし彼ら自身はバンドという形式にあまりこだわっていません。ライヴ中にメンバーがオタ芸を繰り出してみたり、設定されたキャラクターに沿って様々なアクションを起こしてみたりと、音楽を奏でながらもパフォーマンスを行う自由なやり方こそが「魔法少女になり隊」のライヴなのです。

魔法少女になり隊はまだ結成から2年にもならない新人バンドであり、これからの可能性に満ち満ちた期待の新星でもあります。「冒険の書」「ザラキ」「レビテト」……なんだか懐かしいワードが気になったのなら、彼らの新しい音楽に触れてみてはいかがでしょうか?




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