鬼才の演出家・上田久美子氏が宝塚の舞台で見せる、限りない可能性。

2018年1月26日

宝塚歌劇の舞台の面白さ、楽しさ。演者たちの努力はもちろんですが、舞台創りのキーを握っているのが演出家。

宝塚の場合、演出家は座付きで、劇団専属。宝塚の特殊なシステムを良く理解し、独特の華やかな舞台を作り上げています。

以前は男性演出家が多かったのですが、最近では女性演出家の活躍も目覚ましいものがあります。

その中でひときわ注目を浴びている演出家の方がいます。それが上田久美子さん。
上田久美子出典:©宝塚歌劇団 公式HP 宙組公演『神々の土地』『クラシカル ビジュー』演出家インタビューより
宝塚好きだけではなく、演劇・ミュージカル好きなら、この方に注目せずには折れないのではないでしょうか。

2013年に演出家としてデビュー。従来の宝塚歌劇の舞台とは違う、シンプルで美しく心の琴線に触れる舞台に観客はすっかり魅了されてしまいました。

上田久美子さんは一体どのようなキャリアを積み、どの作品を産んできたのでしょうか? これまでの歩みから振り返ってみましょう。

上田久美子氏伝説が始まった、衝撃のデビュー作「月雲の皇子」

上田久美子さんは2006年に宝塚歌劇団に入団。最初は演出助手からスタート。

様々な演出家の方について、舞台演出の方法を学んだようです。新人公演演出なども行いながら、着実にキャリアを積んでいきました。

デビューとなったのは、2013年の月組バウホール公演「月雲の皇子 -衣通姫伝説より-」。主演は現在月組トップスターの珠城りょうさん。珠城さんのバウホール初主演でもありました。
上田久美子 月雲の皇子出典:©宝塚歌劇団 公式HP 月組公演『月雲の皇子』より
古事記や日本書記に残る、衣通姫伝説からインスピレーションを得て作られた舞台。

ともに育ち同じ夢を抱いていた2人の皇子が皇位継承を巡って決裂。2人は巫女である妹に思いを寄せ…というお話。

珠城りょう、鳳月杏、咲妃みゆといった役者に恵まれたということもありますが、無駄を省いた舞台、沈黙で語る切なさを漂わせる演出、美しいセリフなど、全てがそつなく美しいもので観客の涙を誘いました。

心に問いかけてくる、けれど押し付けがましくない演出、これまでの宝塚の舞台とは一線を画すもので、「今後この演出家はどのような舞台を創ってくれるのだろう?」と楽しみが膨らんでいきました。

[next_heading title=上田久美子氏の才能を確信させた「翼ある人びと」]