上田久美子氏の才能を確信させた「翼ある人びと」
次のステージとなったのが、2014年「翼ある人びと – ブラームスとクララ・シューマン -」。出典:©宝塚歌劇団 公式HP 宙組公演『翼ある人びと』より
朝夏まなとさん主演のシアタードラマシティ、日本青年館公演でした。
自分の師匠の妻であるクララ・シューマンに恋をした若き日の作曲家、ブラームスの成長ストーリー。
ラストシーン、クララのもとを去るブラームスに呼びかける、クララのセリフは伶美うららさんの名演技とともに心に残るものとなりました。
この時も美しいセリフと無駄がないストーリー展開、そして人間らしさを包み隠さずに表現したリアリティのある脚本に、涙を流した人も多いことでしょう。
客席爆泣きとなった、大劇場デビュー作「星逢一夜」
そして待ちに待った大劇場デビュー。2015年の「星逢一夜(ほしあいひとよ)」。出典:©宝塚歌劇団 公式HP 雪組公演『星逢一夜』より
早霧せいなさん、咲妃みゆさん率いる雪組が得意とする和物でしたが、普通の日本ものと違い、舞台は九州。トップお二人の出身地からインスピレーションを得たのかもしれません。
九州の月形藩という架空の地が舞台で、主人公たちの話すセリフはほぼ九州弁という斬新さでした。
幼馴染の親友を殺してしまい、その妻でありかつての想い人と、悲しく心を通わせるという話。
咲妃みゆさん演じる「泉」が、早霧せいなさん演じる藩主の息子「天野晴興」に刃を向けるシーンでは、客席号泣…。千秋楽近くになるにつれ、チケット入手がどんどん難しくなっていった、伝説の公演でもあります。
その後、上田さんは「金色の砂漠」「神々の土地〜ロマノフたちの黄昏〜」と、毎年順調に新しい作品を発表しています。
[next_heading title=たくさんの読書量、日本伝統芸能への造詣から作られる独特の舞台]