月組若手スター、暁千星と風間柚乃。『エリザベート』で輝く二人のルドルフを語る!!

宝塚歌劇の名作として2018年も『エリザベート』が上演されました。
今回は珠城りょうさん率いる月組が上演しており、10回目の再演となります。
月組エリザベート出典:©宝塚歌劇団 宝塚歌劇公式ホームページ ギャラリー2018年より
精悍な珠城さんのトート、今回が退団となる情熱的で繊細な愛希れいかさんのエリザベート…と、何かと話題も多いこの公演ですが、注目するべきはルドルフ役の役がわり。

今回、ルドルフ役はダブルキャストで、暁千星さんと風間柚乃さんが演じています。
二人のルドルフについて、今回は比較していきます!

「エリザベート」のルドルフについて

もともとはウィーンのミュージカルだった『エリザベート』。日本では、1996年に宝塚歌劇団が初めて演じ、その後は東宝ミュージカルでも上演されるなど、とても愛されている作品です。
月組エリザベート出典:©宝塚歌劇団 宝塚歌劇公式ホームページ ギャラリー2018年より
ストーリーを知らない人のために簡単に説明すると、オーストリア最後の皇妃であるエリザベートの少女時代から、皇妃になり、最期の時までを描く筋があり、エリザベートの生きる道にずっと寄り添っていたのが「死(トート)」という存在…と仮定し、トートはエリザベートを終始追いかける…というお話です。

トートとエリザベート以外にも、フランツ=ヨーゼフ、皇太后ゾフィーなど様々な役が出てきますが、中でも注目なのがエリザベートの息子であるルドルフの存在。

ルドルフは第2幕で子ども時代と青年時代として、登場します。
青年時代の登場シーンは約15分ととても短いのですが、彼の葛藤から最期までを鮮烈に描いており、このミュージカルの中でもかなり重要な役割となります。

短い登場の中で、ルドルフは革命家たちとの交流、トートとの再会(もともと、子ども時代に初めて出会うという設定があります)、そして絶望、死と、ドラマティックな展開で歌い綴ります。

短い間だからこそ、とても難しい役どころ。歌もトートとのデュエット「闇が広がる」、エリザベートに訴えかける「ママは僕の鏡だから」など、バラエティに飛んでいる、とても美味しい役なのです。

それでは月組の二人のルドルフについて語っていきましょう!

ダイナミックで少年の心のまま…暁千星のルドルフ

暁千星出典:©宝塚歌劇団 暁 千星(Chisei Akatsuki)宝塚歌劇公式ホームページより
今回ルドルフに挑んだ一人が、暁千星さん。
98期生で、すでに新人公演主演を何度も経験し、バウホール公演主演も経験した、実質月組の4番手とも考えられる男役スターです。

がっしりとした体躯でトップスター珠城りょうさんとしっかり張り合える存在感。そして、力強い歌声。その反面、持ち味でもあるベビーフェイスも魅力です。

暁さんは、ルドルフ役に等身大の自分で挑んでいるように感じられます。
皇位継承者としてハプスブルク家の未来を憂い、急進派と手を組んで時代を変えようとする熱い心。志が頓挫し、母に甘える少年のような素顔…。切ない演技でグッと客席を引きつけていました。

歌唱もしっかりしているので安定感があり、ダイナミックなダンスも素晴らしかったです。
革命軍たちを背に、ポーズを決めるところも美しく、とても見応えのあるルドルフでした。
[next_heading title=繊細な芝居心と豊かな歌唱力で表現…風間柚乃のルドルフ]