2016年4月23日より全国ロードショーとなった『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』。
2015年春アニメとして放映され、京都アニメーションの圧倒的画力と演出に注目が集まった『響け!ユーフォニアム』から1年。ついに劇場版としてスクリーンに登場しました!
総集編ときいて、侮るなかれ!
103分にぎっしり詰まったリアルな青春は、初見の方はそのストーリーと美しさに心動かされ、テレビシリーズを楽しんだ方は新たに加わったカットによって演出される名シーンの数々に感動すること間違いなし!
2016年上半期No.1と呼び声高い今作の魅力をとことんご紹介していきます♪
(以下ネタバレを含みます。)
切り取られたシーンと新たなシーンの使い分けが巧みすぎる!
テレビシリーズと比較すると「吹奏楽部部員たちの群像劇」から、劇場版は完全に「黄前久美子目線の成長物語」というストーリーに変わっています。
これによってテレビシリーズに比べて、中途半端で悔しさを知らなかった久美子が、麗奈の存在によって演奏する喜びや努力すること、そしてそこで生まれる葛藤などがより鮮明に伝わるようになりました。
よくある映画の総集編で加えられる新カットは、本編で語られなかった『キャラクターの新たな魅力』を伝えるために差し込まれることが多いです。
ですが、今作では印象を残したいシーンを際立たせるための『演出のひとつ』として差し込まれています。
具体的には、瀧先生の登場シーンに眼鏡が光るカットやリボン先輩こと優子が教室で決意をするシーンなどが新たに加えられたカットになります。
そして1番多く加えられたのが物語の要となる演奏シーン。劇場版ではテレビシリーズから大幅に拡大しました。
サンライズフェスティバルでの行進シーンはなんとフル尺に!麗奈と香織のオーディションソロシーンやコンクールでのシーンも、サビを中心に新作カットがつぎ込まれているので、注目してください。
逆に、切り取られてしまったカットも。
麗奈をとおして久美子が楽器に向き合っていく成長をテーマとしているため、他の部員の細かなエピソードや背景はカットされています。
ですが、ひと目でその背景にあるストーリーを匂わすようなカットを一枚絵で見せたりと、総集編だからといって、ささっと流しているような構成では決してありません。
例えば、テレビシリーズでは印象的だった久美子と夏紀の関係やオーディションのシーン。ここでは劇場版では複数のカットを連続してみせることで久美子と夏紀の関係を表現しています。
久美子が振り向くと、やる気のなかった夏紀⇒練習に参加する夏紀⇒楽器と向き合う夏紀⇒オーディションの結果の瞬間の夏紀と久美子。
といった流れで演出方法も登場の仕方もガラッとかえていながらもテレビシリーズと同じ関係、結果をしっかりと表していました。
それぞれのキャラクターの過去や事情を敢えて描かないことで、久美子たち吹奏楽部がコンクールに向かって努力する『今』がフォーカスされています。
テレビシリーズを観ていない人でも物語に入りやすく、観ていた人でも新しい気持ちで観ることができるのではないでしょうか。