相手役を包み込む、彼氏力の高さ
WSSで愛月ひかるさんが注目されている要因の一つが、相手役・桜木みなとさん演じるアニータとの名カップルぶり。抗争場面では怒りをあらわにするベルナルドですが、恋人を前にすると一変。ただよう甘い雰囲気に、胸キュンしない観客はいないと思います。
桜木みなとさんは初めて女役を演じるとあって、いろいろ苦労しているところもあるそう。男役同士ということで恥ずかしさもあったようですが、「桜木を女にするのは自分!」とかなり燃えたのだとか。

出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ NOW ON STAGE#532 宙組宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演『天は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』 より
舞台上でも袖でもたくさんの愛情を向けているそうで、自分で「愛情過多で重いはず」と言っていました(笑)。当の桜木さんは、「愛月さんの相手役をした娘役さんはこんな幸せなんですね!」とメロメロの様子!オンオフ問わないこの彼氏力の高さが、舞台上での良い雰囲気につながっていることは間違いありません。
特に印象的だったのが、アニータに辛い出来事が起きる場面での振る舞い。観客としては目を背けたくなるような場面があるのですが、アニータが袖にはけた後、そこには愛月さんがいて、アニータを抱きしめてくれているんだそうです(涙)。これを知って、多くのファンが救われた気持ちになるのではないでしょうか。
役として、こんなに深く愛してくれる愛月さんの彼氏力の高さ。相手役でなくても、恋に落ちてしまいます。
なぜ、私たちは愛月ひかるに惹かれるのか
宙組3番手スター、宙組生え抜きのスターとして、ファンに愛される愛月さん。男役として恵まれた容姿、何にでも挑戦し、スターとしての役の幅を広げてきた姿、ヅカファンとしての同志感、愛情の深さ、トークで垣間見える地頭の良さ…など、愛月さんの魅力を挙げるとキリがありません。

出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ 【公式】タカラヅカ・スカイ・ステージTwitter @skystage_info より
正統派男役でいて、その枠にとらわれず挑戦を続ける姿に、私たちは惹かれるのでしょう。
近年の宙組公演の中でも、クセの強すぎる役ばかり演じていたので(「神々の土地」のラスプーチンなんて、専科さんが入ってもおかしくない難役でした)、「もう、路線ではないのかも」「別格スターなのかな」と思うこともありました。しかし、愛月ひかるさんの唯一無二の色は、トップスターとして必要なものなのではと思います。ここ数年の活躍を見て感じるスターオーラから、今後のさらなる飛躍を期待せずにはいられません。
愛月ひかるはどこまで男役を極めるのか?
今回ご紹介したとおり、愛月ひかるさんは宝塚への愛に溢れ、男役をどこまでも追求するストイックなタカラジェンヌ。ご本人が熱いヅカファンだからこそ、細部にまでファンも唸るようなこだわりを見せてくれます。公演ごとに千変万化する姿は、まさに宝塚イチのフリ幅と言えるかもしれません。
そして、今後特に注目したいのが”相手役への愛の深さ”。愛月さんの相手役になる人が羨ましくてなりません。もし将来トップスターになったら、その時の相手役とはどんなエピソードが生まれるんだろう…と勝手に想像してしまいます。
公演ごとに男役を極め、独自の存在感を発揮する愛月ひかるさん。正統派男役ながら、枠にとらわれない役にも挑戦する姿は、男役スターの新境地を開いてくれるでしょう。WSSが終わると、次に待つのは大劇場公演「白鷺の城 / 異人たちのルネサンス」。宙組にとって久しぶりの和モノショーで、日舞が得意な愛月さんの新たな魅力が発揮されます。
この夏、最も熱さを見せたタカラジェンヌ、愛月ひかる。今後の活躍に注目せざるを得ません!
著者:海野りんご