6位 衛宮切嗣（えみや きりつぐ）
『Fate/Zero』
出典:©Nitroplus／TYPE-MOON・ufotable・FZPC
「正義の味方」になりたかった男
『Fate/staynight』の10年前を描いたスピンオフ作品『Fate/Zero』の主人公・衛宮切嗣。魔術師の家系に生まれ、少年時代の絶望的な事件を経た後、「魔術師殺し」として名を馳せるようになりました。
「誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事」という言葉に象徴されるように、切嗣は人命を天秤にかける際、基準とするのはつねに命の「数」のみ。多くの人々を救うためには、たとえ相手が愛するものだったとしても始末します。それが切嗣の背負った「正義」の在り方です。
人間同士の闘争を憎む、誰よりも繊細で優しい心を持っているがゆえに、徹底的に自分を冷酷無比な戦闘兵器として扱います。『Fate/Zero』で描かれる第四次聖杯戦争でも、切嗣は勝利のために手段を選びません。卑怯で悪辣な戦略のせいで、騎士としての誇りが高いセイバーともたびたび衝突しました。それでも最後まで自分の正義を貫き通す彼の姿は、正真正銘のダークヒーローと言えるでしょう。
5位 ガッツ
『ベルセルク』
出典:©三浦建太郎/白泉社
復讐に燃える黒い剣士、ガッツ
隻眼隻腕の“黒い剣士”、『ベルセルク』の主人公・ガッツ。身の丈ほどの大剣「ドラゴンころし」を振り回し、妖魔や使徒を相手に苛烈な戦闘を繰り広げます。
ガッツの旅の目的は、かつての友、グリフィスへの「復讐」。彼が引き起こした悪魔的な儀式「蝕」によって、多くの仲間が犠牲になり、愛する人が犯され、ガッツ自身の精神と肉体も粉々に打ち砕かれました。原作漫画で描かれる「蝕」のシーンの残虐性は筆舌に尽くしがたく、多くの読者にトラウマを植え付けたことでも知られています。
怒りと憎しみに身を任せ、超人的な力で敵を屈服させていくガッツ。しかし、その代償は大きく、ガッツの肉体や感覚器官は、どんどんボロボロになっていきます。ダークヒーローの「目的のためには手段を選ばない」という特性は、大抵の場合、外部の人間に向けられることが多いのですが、ガッツが復讐という目的のために犠牲にするのは己の肉体と精神です。とは言え、そんな危うげな戦士としての姿が、彼の大きな魅力でもあります。
4位 夜神月（やがみ ライト）
『DEATHNOTE』（デスノート）
出典:©大場つぐみ・小畑健/集英社・ＶＡＰ・マッドハウス・ＮＴＶ・Ｄ．Ｎ．ドリームパートナーズ
「新世界の神」を目指した若き天才
死神リュークが退屈しのぎに人間界へ落とした、「名前を書かれた人間は死ぬ」という闇の力を持つデスノート。それを偶然拾ってしまったのが、頭脳明晰、容姿端麗、家族や友人にも恵まれた高校生・夜神月です。
人一倍正義感も強い彼は、デスノートを使って腐った人間たちを殺していくことを画策。悪人のいない理想的な社会を生み出し、自分が「新世界の神」になることを宣言しました。しかし、月の正義感は少しずつ歪み始めます。理想の社会を実現するために邪魔な人間は、無差別に、しかも大量に始末していくようになるのです。
探偵Lの目をかいくぐりながら、天才的なアイデアで人々を殺し続ける月。彼の知性とカリスマ性を見ていると、デスノートの使い方によっては、本当に「新世界」を生み出せたかもしれない、と思わせるところもあります。超自然的な力を手に入れたことによって、自ら身を滅ぼしてしまったダークヒーローと言えるでしょう。
3位 カネキ（金木研）
『東京喰種トーキョーグール』
出典:©石田スイ／集英社・東京喰種製作委員会 「東京喰種」公式(@tkg_anime)Twitterより
「人間」と「喰種」の狭間で揺れる隻眼のダークヒーロー
人の姿をしていながら、人を食べなければ生きられない「喰種（グール）」。読書好きで平凡な大学生に過ぎなかったカネキは、ある出来事をきっかけに半喰種となってしまいます。人の肉を食べたい衝動に駆られ、普通の食事をとることもできません。人生が一変してしまったことに、カネキは大きな絶望に陥ります。
カネキは隻眼の半喰種という自分の立場に悩みながらも、何とか平穏な生活を送ろうと努力しました。しかし現実は非常であり、人類と喰種の対立はどんどん激しさを増していきます。そしてついに、肉体的にも精神的にも大きな影響を及ぼす例の残忍な事件が、カネキの身に降りかかるのです……。
人類と喰種、二つの正義の狭間で揺れながら、なお正解を導き出せずにいる……そんな複雑な葛藤を抱えたダークヒーロー、カネキ。彼がこの先どのように生きていくのか、目が離せません。本作はネットでも、「人類と喰種の共存は可能なのか」という議論が活発に行われました。