花組ひさびさの日本物、『新源氏物語』の観劇レポと感想
花組といえば、宝塚歌劇団の中でもっとも歴史のある中心的な存在です。
最近の花組は台湾公演などもあって洋物などが多かったのですが、その花組で久しぶりに上演される日本物が『新源氏物語』です。華麗な王朝絵巻を花組がどのように演じるのか、花組公演『新源氏物語』の観劇レポと、感想などをまとめました。
[adsense]
源氏物語ではなく、『新源氏物語』
『新源氏物語』とは紫式部の名作、源氏物語を原作としたミュージカルです。宝塚歌劇団の代表作のひとつであり、これまでに何度も再演されています。そして再演ごとに上演する組や演出家が異なるので、そのたびに『新源氏物語』は新しく生まれ変わり続けてきました。今回、花組公演の演出家は中村一徳さん。とても花組らしい華やかな『新源氏物語』となっています。
光源氏を演じる花組トップスター・明日海りおさんは、月組時代に光源氏と明石の宮の娘である匂宮が登場する作品『夢の浮橋』に出演しており、そこで主人公の匂宮を演じた経験があります。今度は、以前演じた役の父親を演じるということで、源氏物語の世界観を表現するのに匂宮を演じた経験が『新源氏物語』に活かされているという感想も多く聞かれます。
『新源氏物語』の主役は光源氏だけではない!
源氏物語は、「光り輝くように美しい」をそのまま名前にした光源氏を描いた物語です。幼い頃に母を亡くしたことから、その母によく似た藤壺に思いを寄せるようになったことから始まり、数々の女性の恋愛遍歴が描かれています。
宝塚歌劇団の魅力というと、実際の男性よりも男らしく、そして美しい男役が挙げられますが、源氏物語は光源氏を取り巻く女性の雅な姿が多く描かれている話のため、娘役スターたちの演技にも目が離せないという声も少なくありません。
光源氏の永遠の憧れである藤壺を演じる、花乃まりあさんの抜群の歌唱力と演技力には、光源氏の憧れの人らしい、美しさや雅があり目を奪われますよね。
葵の上を演じる花野じゅりあさんも、演技力抜群のタカラジェンヌです。光源氏よりも年上というひけ目、そのために素直になれない悲しさ。しかし、子供が生まれたことによって光源氏と夫婦の情愛が生まれた歓びといったきめ細かい演技が必要な葵の上を見事に演じきっていました。
実はこの『新源氏物語』、光源氏という男性だけでなくその周辺の女性たち、それを演じる娘役スターたちも、存在感あふれる主役たちなのです。