宝塚の新時代を率いる女神。奇跡の娘役・愛希れいかの歩み(後編)
すくすくと伸びるヒロイン初期。愛希れいかさんの順調な成長の訳とは…
男役から娘役へ、そして月組トップ娘役へ。愛希れいかさんの激動の変化は、ご本人にとってもきっとプレッシャーも大きかったことでしょう。
周囲も不安視する声もあったと思われます。
ところがそんな困難をはねのけるかのように、愛希さんは作品を重ねるために、可憐さに磨きがかかり、少し不安定だった歌唱力にもどんどん磨きがかかっていきます。
出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ タカラヅカ・スカイ・ステージ プリンセス ME AND MY GIRL(’13年月組・梅田芸術劇場)より
2012年全国ツアー公演の「愛するには短すぎる」、2013年梅田芸術劇場公演「ME AND MY GIRL」、2013年「ルパン-ARSÈNE LUPIN-」など、ヒロイン役でどんどん輝きを増していきました。
2014年梅田芸術劇場公演「風と共に去りぬ」では、ヒロインのスカーレット・オハラを龍真咲さんが演じたため、愛希さんはメラニー・ハミルトン役。
優しく、柔らかく、天使のようなメラニー役は愛希さんにとって適役。
このとき、フィナーレ前のエトワールも務め、すっかり「歌の人」を印象付けるようになりました。
愛希さんがトップ娘役に就任した同年に、同期の実咲凜音さんが宙組トップ娘役に就任しています。
出典:©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ タカラヅカ・スカイ・ステージ Princess Photographieより
実咲さんは優等生で歌もダンスも上手く、美貌の娘役。愛希さんにとってはお手本でもあり、最大のライバルであり、親友でもあったと思われます。実咲さんの退団前に、2人の写真集が出たのも記憶に新しいところです。
同じ立場に抜擢された同期の存在に励まされ、切磋琢磨しながら、愛希さんも実咲さんも他の娘役には感じられない、独特のオーラを放ち輝いていきます。
大人の女性から個性的な役まで、ぐんと幅を広げて
トップ娘役就任時から、可憐な役が続いていた愛希さん。
愛らしい雰囲気なので、どうしてもそうなってしまうのは致し方ない部分もありましたが、ついに大人の役が巡って来るようになりました。
出典:©宝塚歌劇団 公式HP 月組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』より
それが2015年の「1789−バスティーユの恋人たち−」のマリー・アントワネット役。
相手役の龍さんと絡む場面はほとんどなく、それどころか龍さん演ずるロナンに対し、もう一人の主役といったような大きな役柄。
この役をコケティッシュに、そして圧倒的な存在感で魅せ、愛希さんは大喝采を浴びます。
そして2015年の「舞音−MANON−」。
出典:©宝塚歌劇団 公式HP 月組公演『舞音−MANON−』より
男を翻弄しつつ、ピュアさを失わないマノンを嫌味なく、美しく儚く演じ、積み上げてきたトップ娘役としての底力を見せつけました。
[next_heading title=道を広げてくれた、最愛の人を見送って]