キム・スヒョン vs ガセヨンの現在…告発・反論・裁判の行方

2025/06/13
キム・スヒョン vs ガセヨンの現在…告発・反論・裁判の行方

2025年3月、韓国の俳優キム・スヒョンをめぐる暴露がYouTube上で拡散されたことをきっかけに、芸能人と告発系YouTuberによる法廷闘争が本格化しています。

発端は、俳優キム・セロンの死に関連づけて、YouTubeチャンネル「ガロセロ研究所(以下、ガセヨン)」が投稿した内容。未成年時代の交際疑惑を皮切りに、遺族による証拠提供、広告主による損害請求、さらには双方の不動産の仮差し押さえへと、問題は一気に拡大しています。

この記事では、「疑惑と証明」「仮差し押さえの応酬」「暴露文化とその余波」という3つの柱から、この一連の出来事を整理してみます。

1|未成年交際疑惑と証拠をめぐる攻防

2025年2月16日、俳優キム・セロンがソウル市内の自宅で亡くなっているのが発見されました。この日は偶然にも俳優キム・スヒョンの誕生日であり、出来事はより大きな波紋を呼びました。

その後、YouTubeチャンネル「ガセヨン」は「キム・セロンが未成年だった頃からキム・スヒョンと6年間交際していた」と主張し、遺族から提供されたとする写真やメッセージ、手紙などを公開しました。

しかし現在、この主張を支える“証拠”の信憑性そのものに対し、さまざまな疑問が浮上しています。

ガセヨン側が提示した音声の一部にはAIによって生成された可能性があると指摘されており、また写真についても「故人が未成年だった当時のもの」とされたものの、実際には成人後の2019年以降に撮影されたものであるとスヒョン側は反論しています。

現時点で、これらの証拠が「誰によって、いつ、どのように作成・提供されたのか」は明らかになっておらず、事実関係の判断には慎重な検証が求められる状況です。

2|仮差し押さえの応酬と、責任の所在

疑惑の余波は広告業界にも広がりました。2025年5月8日、医療機器メーカー「クラシス」が「スキャンダルにより広告実施が不可能となり損害を受けた」として、キム・スヒョンの所有する高級マンション「ギャラリアフォレ」1戸に約30億ウォン(約3億円)の仮差し押さえを申請。ソウル東部地裁は5月20日、これを認めました。

並行して、キム・スヒョン側もガセヨン代表のキム・セイ氏を名誉毀損で提訴。5月20日にはガセヨンの後援口座に対する仮差し押さえが行われ、さらに6月9日には、キム氏名義の不動産2件(ソウル市瑞草区と江南区)にも仮差し押さえが認められました。合計約40億ウォンに上ります。

キム・スヒョン側は「わたしたちの主張の正当性が一定程度認められた」とコメント。しかし、仮差し押さえはあくまで本裁判前の保全措置であり、勝訴を意味するものではありません。今後の法廷判断が注目されます。

なお一部では、「成人後の交際であれば問題はない」という見解もありますが、世論全体の空気は急激には変わらず、企業側からキムスヒョンへの損害請求の動きも続いています。

3|告発文化と「見る側の責任」

ガセヨンの暴露動画はSNSでも大きく拡散され、キム・スヒョンは反論を出す前から激しい非難にさらされました。動画で提示された情報の一部は未検証のまま共有され、「真偽」よりも「インパクト」が優先される状況が浮き彫りに。

ガセヨン側は「公益目的で隠された真実を明らかにするための報道だ」と正当性を主張。一方、キム・スヒョン側は「ガセヨンの虚偽報道によって甚大な損害を受けた」として、刑事告訴に踏み切りました。

加えて、キム・セロンの周辺に存在する金銭トラブルなどの情報も錯綜しており、問題の構造はより複雑になっています。

暴露型コンテンツの拡散により、「真実」と「演出」の境界が曖昧になっていく現状。BGMや編集の演出が印象を操作し、私たちの感情を左右しているという現実も見逃せません。

私たちは何を信じるか

証拠が出そろっていない段階で人物像を断定することのリスク。情報の出どころが限られる中で、どこまでが主張でどこまでが事実なのでしょうか。

この騒動が私たちに突きつけているのは、「ひとつの真実」がどのように語られ、どの構造で伝わるのかという根源的な問いです。いずれの主張にも決定的な証拠が出そろわないまま、今後、司法の場でどのような判断が下されるのか、注視する必要があります。

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