希代のアンドロギュヌス
森岡さんを唯一無二な存在だと印象づけるもの、それは何といっても彼のルックスとステージパフォーマンスです。
3人組のSOFT BALLETでは一番目立っていた存在といって間違いないでしょう。
全身タイツのような白い衣装でキーボードの前に立っていたかと思えば、演奏はほとんどせず踊りだすのです。この『クネクネダンス』と通称されるダンスが「森岡賢」の真骨頂でした。
男か女かわからない両性具有性を持ち、下手をすれば宇宙人のようにも見える森岡さんのパフォーマンスは我々に強烈なインパクトを残しました。「何かイケナイものを見てしまった……!」という感覚を覚えた人も多いはずです。歌番組に出ている彼を見ていると、お母さんに怒られたなんてこともあるかもしれません。とてつもなく異端なのに不思議とクセになるのが森岡さんの魅力でした。
どのアーティストに参加しても一目で「森岡賢だ!」とわかる個性。そんな彼のスタイルは49歳でその生涯を閉じるまで、変わることはありませんでした。優れたプレイヤー、コンポーザーであると同時にアンドロギュヌス(両性具有)のアイコンであり続けたのです。
「森岡賢」としてのスケジュールは現在すべてキャンセルされています。
予定されていたminus(-)のツアーも、一部公演を除いて中止。
2016年8月13日の赤坂BLITZ公演は開催予定ですが、どのような形で行われるのかは不明です。彼の死によりファンの悲願だったSOFT BALLETの再々結成は叶わぬ夢になってしまいましたが、SOFT BALLETの元ボーカリスト、遠藤遼一さんからは公式ホームページにて追悼のコメントが寄せられています。
もう一人の盟友、藤井麻輝さんからはオフィシャルなコメントはありませんが、minus(-)公式ツイッターにアップされた最後の画像は、藤井さんと森岡さんが仲良く映っている写真でした。
今日はジャケット撮影でした。レコーディングも大詰めです。ちょっと気持ち悪いサービスショットをどうぞ。 #minus #summerVoltaire #ホントは仲良し pic.twitter.com/zjxqQxV1Dh
— minus(-) (@minus0502) 2016年5月30日
出典:©2017 avex music creative.
≪minus(-)≫twitterより
緊張感のある関係を保ち続けたことで知られる二人ですが、近年の関係性は悪くはなかったのでしょう。
デビュー以降、鮮烈なインパクトを我々に残し続けた「森岡賢」。
彼の楽曲とパフォーマンスは時代を超えた魅力を持っています。minus(-)の活動を見守ると同時に、今一度、森岡賢さんの冥福を祈りましょう。