数々の伝説を生み出してきた宝塚の新人公演列伝
ヅカファンにとって憧れの的であって、タカラジェンヌを目指す人にとって夢の存在が、宝塚歌劇団のトップスター。では、どうすれば宝塚歌劇団でトップスターになれるのかご存じですか?
まず、入団7年目までに若手だけで行われる新人公演で主演を演じること。宝塚の宝塚大劇場と、東京の東京宝塚劇場で行われる「本公演」で主演の座を勝ち取ることがトップスターになる事実上唯一の道です。
そのために下級生は本役の上級生の衣装や小物を借りて、普段の公演の合間を縫って寝食を忘れて練習に励みます。こうしたトップスターの座を勝ちとった人たちは、運命の新人公演で数々の伝説を残しています。
初々しい新人公演や本役顔負けの完成度だった新人公演まで、数々の新人公演伝説を紹介しましょう。
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史上最速で新人公演の主演を射止めた天海祐希伝説は、今も破られず
今や大女優として芸能界でもトップスターに輝く天海祐希さん。天海さんが作った入団10ヶ月での主役抜擢は、今もまだ破られていません。配役発表の日に、それを見た上級生が「あの人は誰なの?」と騒いだというオマケまで付いた伝説です。
それは1987年の「ミー&マイガール」の新人公演で天海祐希さんが史上最年少にして主演に任命されたというもの。
天海祐希さんは華やかなムードを持つ天性のスター気質で、新人公演でトップスターの座についた後も異例の大出世をなし遂げたのは、言うまでもありませんね。
「エリザベート」の新人公演抜擢は伝説の幕開け
次は、安蘭けいさんの伝説です。そのレジェンドが生まれたのは初演の時の新人公演です。この舞台で安蘭さんは、数々の難曲を完璧に歌いこなして観客を驚かせました。当時は一路真輝さんも歌唱力でトップクラスでしたが、そこに割って入ったのが安蘭さんでした。スゴいですね!
ちょっと名前が似ていますが、蘭寿とむさんの伝説も見逃せません。
蘭寿さんは最高倍率の試験を記録した82期の入学試験を軽々とクリア。これだけでも十分スゴいですが、入団当初から男役に色気があると評価され、圧倒的な存在感で「黄泉の帝王」を熱演したことは往年のヅカファンにとって伝説でしょう!
花組新男役トップスターだった明日海りおさんにも、新世代ならではの人気伝説があります。出演する日は平日でも立ち見が絶えず、当日券を求めて徹夜組まで出ました。これは明日海さんもスゴいですが、徹夜で並んだヅカファンもスゴいです。
伝説になる娘役は若い時から抜擢される人が多く、しかもその抜擢に見事に応えます。「エリザベートで新人公演主演を務めた遠野あすかさんの圧倒的歌唱力は、その典型じゃないでしょうか。
まだまだある、タカラジェンヌの偉業伝説
霧矢大夢さんも忘れることができない伝説を残した大スターですね。その伝説は、1999年の新人公演「ノバ・ボサ・ノバ」で起きました。主役に抜擢された霧矢さんは歌詞がないシーンで、本役のトップでも出来なかった即興のスキャットを見事歌い上げて、宝塚の新人公演初のカーテンコールを起こしました。
さらに、音月桂さんは主役を演じた「スサノオ」でずば抜けた歌唱力と迫力で観客を圧倒、カーテンコールだけでなく、スタンディングオベーションまで巻き起こしました。
※記事初出時に、天海祐希さんの経歴に誤りがありました。正しくは1999年の「ノバ・ボサ・ノバ」新人公演ではなく1987年の「ミー&マイガール」新人公演となります。訂正してお詫びいたします。