出会った”運命の役” いじらしく、底抜けにキュートな花乃まりあのサリー・スミス
トップ娘役として、花乃まりあさん最大の当たり役といえるのは「ミー・アンド・マイガール」のサリー・スミス役でしょう。
何度も再演されている名作で、数多くの先輩方が魅力的なサリー象を描き上げていますが、花乃まりあさんは彼女らしいサリーを好演し、好評を博しました。
出典:youtube©宝塚歌劇団
花組『ME AND MY GIRL』初日舞台映像(ロング)
花乃サリーを見て一番感じたのは、いじらしさ。
愛するビルのために身を引く…という悲しさを滲ませ、「一度ハートを失ったら」では思わず涙してしまいました。登場シーンのじゃじゃ馬な印象から、ビルを思う一途な少女、そして淑女へと変わっていくさまが見事に演じられていて、花乃まりあさんの芝居心も強く感じました。
また、明日海りおさんとの息の合ったアドリブシーンも、毎公演の楽しみでした。サリーとして自由に舞台を駆け回る姿は溌剌としてキュート。まさに、花乃まりあさんならではのサリー像だったと言えるでしょう。
花乃まりあの真骨頂、高貴な王女・タルハーミネ役で宝塚を去る
退団公演となった「雪華抄 / 金色の砂漠」は、どちらも新たな花乃まりあさんに出会える演目。
日本物のショーでの着物の美しさは圧巻で、「安珍・清姫」の場面など、記憶に残る和物の名場面になったと思います。
出典:youtube©宝塚歌劇団
花組公演『雪華抄(せっかしょう)』『金色(こんじき)の砂漠』初日舞台映像(ロング)
また、「金色の砂漠」では、明日海りおさんを奴隷に従える王女・タルハーミネ役を熱演。
高貴で、傲慢で、ワガママで…宝塚のトップ娘役としては実に異例の役どころです。この役を宛て書きされ、さらに熱演で答えることができたのは、花乃まりあさんが娘役を極めたからでしょう。本人も「この役に出会えるのを待っていたのかもしれない」というほど、花乃まりあさんの魅力が発揮される役になりました。
最後の公演のエトワールも務めた花乃まりあさん。

出典:© 宝塚歌劇団 © 宝塚クリエイティブアーツ タカラヅカ・スカイ・ステージ プリンセス ア・ラ・モード#4「花乃まりあ」 より
「エリザベート」での不安げなエトワールと違い、トップ娘役としてのキャリアを重ね、絶え間ない努力があったからこそ、自信に満ちた、華やかな歌声を響かせてくれました。
花乃まりあさんの一挙一動からは、相手役の明日海りおさん、諸先輩方を尊敬し、宝塚を愛している姿が伺えました。不安げに揺れていた蕾も、今や大輪の花を咲かせましたね。
短い宝塚人生を、濃く、華やかに過ごした花乃まりあさん。その姿は、ファンの中に大切な想い出として残ることでしょう。
著者:海野りんご